前のエピソード――第6話　少子化・結婚しないのは保育園のせい？

　サラリーマンのうつを解消したともいわれる大谷翔平選手。シーズンオフに大谷ロスになる人も多いのではないでしょうか。彼は圧倒的な野球の才能と恵まれた身体を持つギフテッドですが、それ以上に努力を重ね人格的にも優れている、と言われています。

　もちろん直接の知り合いじゃないし、彼の身体検査をしたわけではないので正確な情報かは知りません。しかし、ネットで見る彼の活躍と結果については疑う余地がありません。（実はAIで作りだした架空の人物の可能性もありますが、そういう議論はここではしません）

　彼の活躍にどんな感情を持つかは人それぞれでしょう。ただ前代未聞の活躍に「感情が動く」ことが彼の「価値」になっていると思います。

　で、AV女優さんですね。彼女たちの活躍によりサラリーマン（むろん男性全般。一部の女性も含めて）のため込んだ性欲やストレスが解消されています。感情というよりもっと深い欲望の気もしますが、とにもかく彼女たちが生活の潤いになっている人も多いと思います。

　さて、ここで問題提起です。大谷翔平とAV女優さんの「価値」「貴賤」「道徳不道徳」って何によって決められていますか？という話です。

　大谷選手は先ほども言いましたがギフテッド、つまり人類の中で上位ほんのわずかしかもらえない遺伝子と言う名の才能が前提になっています。

　AV女優さんも見た目や身体は遺伝子です。美人やかわいい子＝人気女優ではありません。ただ、現在ルックスに恵まれた子が多くAV女優になっているということで、以前に比べて非常に可愛くなっているそうです。私は審美眼が怪しいので良くわかりませんが。

　大谷選手は身体を張ります。鍛えて鍛えてそして食って寝ます。AV女優さんも身体を張ります。男性と組んずほぐれずの行為をする。太らないよう体形に気を使い、化粧技術を磨き、自己投資をして、時にはメスを入れて美しくなろうと努力します。

　もちろんそう言う努力をしない人もいるでしょう。それは野球選手も一緒です。話を聞いていると大谷選手ほどストイックな人はほんの僅かで、酒を飲み女遊びもしているようです。

　で、職業として自分の身体を使った結果、その経済的な価値によって対価を貰います。年齢的にも若いうちという制限もあります。

　身体を使った行為を見られて人に感動を与えるのは一緒です。才能のレベルが違うかもしれませんが、大谷選手を野球選手・スポーツ選手と言い換えは可能です。

　さて、どこに違いがあるのでしょうか？むしろ男性は野球が無くても生活はできます。どちらが本能に近いかという問題はありますが、スポーツは成り立ちから言って戦争や決闘の代理行為、つまりタナトスに属するものかなと思います。

　一方でＡＶ女優さんが満たしてくれる性欲というのは、スポーツよりも必要性が高いですよね。原始的な本能なだけにどうしても始末する必要があります。つまりエロスですね。エロスとタナトス。性と死（戦い）の差があるだけで、希少性は別にすれば大谷選手とＡＶ女優。ほとんどその存在価値は一緒ではないでしょうか。

　で、ＡＶ女優さんが職業として叩かれる理由ですね。女性を叩くのではなくＡＶ業界を叩いているのがまた巧妙です。女性の保護の名のもとに業界つぶし、職業つぶしをしているようにしか見えません。ここにフェミニズム議論のうさん臭さがあるのかな、と思ったりします。とにかくセックスを貶めます。隠すべきものとして決めつけます。

　もちろん、性の問題は本能に近いし、宗教、思想、精神などと密接に絡む分、尊厳の問題が起きてくる、性の搾取問題があるのはわかります。

　ですが、女性が自らの意志で、性を売りたいというケースも否定的な意見が支配的な気がします。女性の保護の名のもと、女性の価値観の対立を男性のせいにしている気がするのですが、どうでしょうか？

　性を売る女性が辛い思いをしているのは、底辺だと貶める目ではないでしょうか。そしてそれは女性の方が厳しい見方をしていませんか？

　生殖行為あるいは肉体そしてプライドを金に換えるのはいけないことでしょうか。運動選手が戦う能力＝戦争・殺し合い・暴力の変形であるスポーツを金に換えて見せものにするのと何が違うのでしょうか。