第13話 大生還の遡及請求
第13話 大生還の遡及請求
素人が法律語るなって感じだが
二十歳前傷病と言う決まりがあって、
二十歳を迎える前に何らかの障がいを得た者は、
遡って年金を受給出来ると言う制度がある。
俺の発病は二十一歳で厳密には範囲の外側なのだが
精神病棟に講義に来た教授の話によれば
若干の年齢のずれは加味される制度だと学んだ。
退院後、俺は1カ月手取り8,000円の事業所で
汗水流す日々を送りながら
頭の片隅には常に制度の存在があり
色々勉強した後で、厚生労働省から年金証書を勝ち取った。
遡及請求をフルに活用したかったので
しばらくは精神修行と思い、色々な事業所に通い
条件を満たした年に、誇張抜きで数百万円と言う大金を
国から振り込んで貰った。
夫婦でのぼせて、衣料にたくさん散財したこともあったが
大金の何割かは自費出版の原資にあてがった。
梓書院によれば、データさえ残っていれば
改訂版としてメディアコンサルティング以外からも
出版できるので、現時点では失敗配信と決めるのはやめよう、と。
(書籍は出版、電子書籍は配信と言うのが一般的)。
遡及請求は俺にとっては大生還の制度であり
現在に至るまで、本当に不自由のない豊かな暮らしをさせて貰った。
OCTS+OPTW=5,000部は高望みかも知れない。
只、三部作の二作目が登場することは小規模でも話題性は充分だし
タッグを組む梓書院の評判も上々だ。
「確実に精度の高い原稿が集結した」とご満悦の様子。
勝負は来年の06月。それ迄に、OCTSを500部完売させたい。
来年、販売会を計画するのは無謀? 皆で築こう生還論!
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