第41話 小休止

 アスの先制攻撃に依って、小屋に潜んでいたオーク三体に対しのダメージを与える事が出来た。

 これがゴブリンで有ったなら、のたうち回って焼け死ぬので有るが、オークは燃えさかりながらも石斧を持って、俺たちに向けてを上げながら襲い掛かる!!


「ギュ、ギュギュンンーー」←荒れ狂うオークの雄叫び


「ギュ、ギュギュンンーー」


「ギュ、ギュギュンンーー」


「…………///」

「はぁ、はぁ、―――///」


 だが、アスは非常に疲れた表情を見せていた!

 魔力消費が、アスの予想以上に大きかったのだろう。


 俺はアスの魔力量(MP)を知らないが多分、三分の一相当の魔力を消費しているだろう?


(これ以上の、アスの魔法攻撃は期待出来ないな)

(リンは論外だし、俺一人で奮闘しないと……)


 一度に三体も相手出来る訳が無いが、俺は前に飛び出して、オークとの戦闘を始める。

 この状態なら、今回も通常の剣でオークを倒せるだろう。


「グオォォーーー」←オークの叫び


『バシュ!』


「グギャアアァァーー」


 迫り来るオークに俺は剣を振り下ろし、一体のオークを切る。

 俺の一撃が致命打と成って、オークは断末魔を上げる。


「ギュ、ギュギュンンーー」


「ギュ、ギュギュンンーー」


 だが、後の二体は俺との交戦を望まず、俺の横をすり抜けた!

 俺の相手をするより、リンやアスの方が確実に殺せると考えたのだろう。


 オークだけ有って、知恵はかなり有るようだ!


「クソッ!」


『ダッ、―――』


 俺は苦痛の言葉を吐いて、オーク二体の追撃を始めるが……オークは意外に足が速くて、俺が追い付く前にリンたちはオーク二体から攻撃を受けて、瀕死状態に成るだろう!

 リンやアスも戦闘訓練を受けているが、男性と女性では基礎が違いすぎる。


『にょろ、にょろ、―――』


 だが、その時。一番後方に居たコハルが、急にリンたちの前に出て来て、笑顔で大きな口をひらけると……


「~~~♪」

「グアッ♪」


『ブッ、ゴオォォォーーー』


 コハルはオーク二体に向けて、笑顔で火炎放射器の様な炎を口から出し始めた!?

 コハルは大蛇とか言いつつ、実はドラゴンの子どもか!??


「ギャオォォンン~~」


「ギャオォォンン~~」


「~~~♪」


『ゴオォォォーーー』


 只でさえ燃えているオーク二体に、新たな炎が加わるので、オーク二体を同時に悲鳴を上げている!

 コハルは笑顔のままで、火炎放射を出し続けている。


『バタン!』


『バタン!』


 コハルの火炎放射で焼かれたオークは力尽きて、二体同時が地面に倒れ込む。

 そのタイミングで、コハルは火炎放射攻撃を止める。


 俺は二体の側に近付きで、剣で止めを刺しておく。


『ザシュ』


『ザシュ』


「……ふぅ」


 二体のオークはまだ燃えているが、二体とも絶命した感じだ。

 俺が亡骸なきがらオークの側で溜め息を吐いていると、リンが嬉し驚きながらコハルに話し始める。


「凄いですね。コハルさん!」

「そんな隠しワザが有ったなんて私、全然知りませんでした!!」


「知らなくて当然だよ。リンちゃん!」

「これはナポレンちゃん、マユちゃんしか知らないから♪」←マユちゃんは受付の女性


 リンがコハルに話している中。

 俺はアスの側に近付いて、心配する表情で尋ねる。


「アス……大丈夫か?」


「えぇ……少し、張り切りすぎてしまいました///」

「でも、どうにか、落ち着いてきました!///」


「まだまだ、鍛錬が足りなかったようですね……///」


 アスはバツの悪い表情で俺に話す。

 リンとの話を終えたコハルは、俺に向けて和やかな表情で話し始める。


「スズヤ。私もちょっと……光を出し続けるのは疲れてきたし、ここらで休憩でもしない?」

「丁度今は、小屋が燃えている光も有る事だし!」


「そうだね……コハルさん。坑道内でも見晴らしは良い場所だし、小屋がまだ燃えているからランプ代わりに丁度良い!」

「リン、アス。休憩だ!!」


 俺は穏やかな表情でコハルに言った後。その表情でリンやアスに話し掛ける。

 坑道内で有るが、俺たちは小休止を始める。


 ……


 小休止の時にコハルが用意させた糧食べんとうを広げる。

 ここで食べておかないと、食べる機会が今後無いと感じたからだ。


 その糧食を見たアスが、喜びの声を上げる!


「わぁ~~。これって、食パンですよね♪」

「それに、バターやジャムも付いている上。果物や干し肉、チーズまで付いています!♪」


「兵士さんはやっぱり、良い物を食べていますね~~♪」


 食パンなんて、前世界では見慣れた食べ物で有るが、この世界では特権階級の人しか食べられないらしい。

 アスの言葉を聞いていたリンは、和やかな表情で話し始める。


「アスちゃん! 兵士が食べているのでは間違いないけど、これはもっとお偉いさん達が食べている物なんだよ!!」

「普通の兵士さんだと食パンがライ麦パンに成って、ジャムやバターも無くて……チーズだけに成るよ!」


「あぁ/// そう言う事は、私たち凄く期待されているのですね!!///」

「感謝して、残さず食べたいですね///」


 アスは嬉し恥ずかしそうな表情でリンに話す。

 バケットの中には、人数分の食べ物が入っている。


 コハルは大蛇でも、人間と同じ物を食べているそうだ。

 食事前の挨拶をしてから、みんなで小休止も兼ねた食事を始める。


「~~~♪」


「~~~♪」


「~~~♪」


「~~~♪」


 この時ばかりは冒険している事を忘れて、食事を中心に楽しむ。

 アスの方も美味しい物を食べて、体力や魔力も回復している感じだ。


 俺も普段より豪華な食事(?)をみんなで楽しんだ!

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