第33話 飛躍しすぎる!?

「じゃあ、報告に行きますか!」

「こんな吉報は、早く言うに限る!!♪」


『バタン!』


 コハルは笑顔で俺に言い終えると、扉が勝手に開く!

 さっきの扉が勝手に閉まったのも、コハルの仕業なんだろう!!


『にょろ、にょろ、―――』


『にょろ、にょろ、―――』


 扉が開いたのを確認したコハルは、蛇らしい動きをして扉の方に向い……受付の女性に向けて話し掛ける。


「マユちゃん~~♪ 結果が出たよ~~~!」

「この人は~~、灰の人~~。灰ね~~♪」


「コハル様! スズヤさんの属性は灰ですね……灰?」

「はいっ!??///」


「!??」


 受付の女性はマユと言うらしく、コハルの言葉を聞きながら診断結果を書いていたが、俺が灰属性で有るのを知り、素っ頓狂な声を上げている!

 その言葉を聞いていた神父も、驚きの表情を見せながら、コハルの方へ顔を振り向かせる!!


『ガタッ!』


 神父は直ぐにソファーから立ち上がり、驚いた表情のままでコハルの元に駈け寄り、コハルに向けて話し始める。


「……コハル様!///」

「スズヤが……灰で有るのは、本当なんでしょうか!?///」


「神父! 本当だよ!!」

「この人はスズヤと言うのか!!」


「私もと感じたけど……スズヤは灰属性でした!♪」


 神父の表情に対し、コハルは嬉しそうな表情で神父に言う。

 すると神父は、笑みを零しながら俺の側に近付いて来て、俺の両手を急に握りしめながら話し始める。


「スズヤ!」

「これは、凄い事ですぞ!!」


「私も長年。メルメーサ王国で生きて来ましたが、陰陽(灰)魔法使いなんて初めて見ました!!」

「これは、早速。マッカー・ナポレン王に報告をしないと!!」


「!!」


(王に報告だと!?)

(いや、いや、そんなにも良いよ。神父///)


『ガチャ!』


 俺がそんな事を思っていると『適性診断室』の扉が急に開く!

 その扉を開いたのはアスで有った。


『バタン!』


 アスは扉を閉めて、俺たちを見たアスは、穏やかな表情で話し始める。


「神父。スズヤさん!」

「私の方の用事は終わりました!」


「あっ……コハルさん。こんにちは!」


「アスちゃん。こんにちは!」

「聞いたよアスちゃん。本格的な黒魔法使いに為ったんだってね!♪」


「私はアスちゃんを期待していたから、私も凄く嬉しいよ!♪」


 俺や神父がアスに話し始める前に、コハルがアスに笑顔で話す。

 コハルは馴れ馴れしくと言うより、アスに期待を持った感じで有る。


 アスは和やかな表情に成って、コハルとの会話を続ける。


「ありがとうございます。コハルさん!」

「……それで、スズヤさんの結果はどうでしたか。コハルさん?」


「聞いてよ、アスちゃん! スズヤは何と、灰属性だったよ!!」

「私も超びっくり~~!!(笑)」


「!」


(蛇の癖に『超びっくり~~』何て言うなよ…)

(見掛けの割りに、この蛇はまだ幼蛇ようだなのか!?)


 アスも、神父やマユ同様のリアクションを示すと思っていた俺で有るが、アスは軽いリアクションで有った?←アスも驚いているのは変わらない

 アスは嬉しそうな表情で、俺に話し始める。


「良かったですね。スズヤさん!」

「スズヤさんも、魔法の素質が有りましたね!♪」


「うん。ありがとう。アス!」


 俺は控えめな笑顔でアスに言うが……


(アスの感じだと、灰属性は知っている感じだったな)

(でも、蛇のコハルは、私の代では初めてだと言っていたよな?)


 アスが文献等を調べて、灰(陰陽)魔法を知っているなら話は別だが、そうで無ければリアクションが弱い気がする。

 神父が俺とアスに向けて、嬉しそうな表情で話し始める。


「スズヤ、アス! この報告を早速、王に報告に行きましょう!!」

「王もさぞかし、お喜びに成るでしょう!♪」


「私も、付いて行こうっと~~♪」

「最近。ナポレンちゃんに会っていないし!♪」


 神父の言葉の後。コハルも嬉しそうな表情で一人しゃべりをする。

 俺、神父、アス、コハルの三人+一匹は、適性診断室から王室へ歩いてでは無く……コハルの力(魔法)で一気に瞬間移動をする!?


「じゃあ、向うね♪」

「テレポリエタ 王室!」


 コハルは笑顔で魔法を急に唱えると、三人+一匹は瞬間移動を始める!

 コハルは魔法も使える様だ。流石、王国城の守り神(大蛇)だけ有る。


『バッシューン』


『シュン!』


「!!」


 三人+一匹は、メルメーサ王国の王室に着地する。

 玉座に座っていた王は、俺たちの突然出現で当然驚く。


 ちゃんとご丁寧に、玉座の両隣には兵士が立っている。

 表情は驚いていたが、王側近の兵士だけ有って、肝は据わっている感じだ。


 王は『やれやれ』の表情で、コハルに話し始める。


「……誰かと思えば、コハルか…」

「お前は本当に神出鬼没だな!(汗)」


(やっぱり、王だ!)

(守り神を呼び捨てで呼んでいる!)


 だが、コハルは嬉しそうな表情で、王に話し始める。


「聞いてよ。ナポレンちゃん! この、スズヤって人。灰属性だったよ!!♪」

「凄いね。私超びっくり!!♪」


(王を付けで呼ぶ、守り神……まさにゲームの世界そのままだな///)


「…………」


 だが、王(ナポレン)はコハルに言葉を返さずに、品定めする様に俺の観察を急に始め出す。


「この青年が……灰属性か」

「思い切って、此奴こやつに掛けてみるか!」


 王は、渋い表情と低い口調で呟く。

 一体、何を掛けるんだ!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る