第1話 ここの現実世界

「えっと……助けていただいて、ありがとうございます///」


 俺はバツの悪い表情で少女に話す。

 本当は助けて欲しく無かったが、こんな美少女に助けられてしまったら、素直にお礼を言うしかない。


 少女は微笑みながら、俺に話し始める。


「別に、お礼の言葉なんて良いですわよ!」

「あなたは、道で倒れていた割りには元気そうですね!!」


「安心しました!」


「!?」


 俺は、少女の言葉を聞いて驚く!

 俺は入水自殺を計ったのに、なんで道で倒れていたんだ!?

 

 別の誰かが俺を引き上げて、この少女が俺を介抱してくれた??

 だけど、それならで有るから、俺が池に浮いていた事は少女でも分かるだろう……


 服は白いシャツに着替えられているので、自殺当時の服装では無い。

 俺は理解出来ない表情で、少女に聞き始める。


「えっと、すいません…」

「俺は池で、溺れていたのでは無いのですか…?」


「?」

「池?」


「この辺りに、池なんて有りませんよ!」

「もしかして、倒れた時に何処か頭でも強く打ちましたか?」


「……」


 少女は怪訝な表情で話し、最後の文章は心配する表情で話す。

 俺は、何がどう成っているのだと思いながら……窓の方に景色を向けると、此処で違和感に気付く!


(あれ?)

(この世界って何だか、日本じゃ無い世界だな…!)


(季節の方も、俺は冬手前時期に自殺を計ったのに、ここの季節は秋ぐらいの季節に見える)

(そうすると……ここは一体どこなんだ??)


「…………」


 俺はしばらく考えるが、此処は俺の知っている日本では無い感じがする。

 少女は美少女で有るが、日本の美少女とは違う。


 俺は思いきった表情で、少女に話し始める。


「……あの、すいません」

「俺は鈴谷と言いますが、あなたの名前は何て言いますか?」


「あぁ! 私の方も、紹介が遅れていましたね!!」

「本来なら、先にすべきでしたね!(汗)」


「スズヤと言うのですか! 私の名前は、リンと言います!!」

「よろしくお願いしますね」


 少女は少し驚いた表情で俺に言った後。

 後半の文章は穏やかな表情で、俺に名前を言う。


「リン……この人は、リンと言うのか」


 俺は澄ました表情で呟く。

 少女の名前がリンと言うのは分かったが、俺はこの先どうすれば良いのだろうか?


 リンは穏やかな表情で、俺に話し始める。


「スズヤさん!」

「体力が回復するまでは、この家でと体を休めてくださいね!!」


「今。お母さんがスープを作っていますから、出来たら直ぐ持って来ますね!」


「……」


(リンの気持ちは嬉しいが、赤の他人に家へ滞在なんて出来ない)

(それに、財布の中に入っているお金もそう無いから、滞在の対価を支払う事も出来ない///)


(そして、俺は死んでいないから今頃、警察などが動いて事が大きく成っているだろう)

(会社の方にも『自殺します』なんて言っていないから、会社の方から実家に電話行っているだろうし……)


(どうして入水自殺したのが、道で倒れていたのかは理解出来ないが、一刻も早く俺の家に帰らないと……)


『ダッ!』


 俺はベッドから下りて、ドアの方に足を向けるが……此処で急に強い頭痛に襲われる!

 この痛さでは、とても歩く事は出来ない。


「うっ……」


 俺は思わず右手で頭を押さえてしゃがみ込むと、リンが俺の側に駈け寄って来て、心配する表情で話し始める。


「まだ、早いですって。スズヤさん!」

「最低でも、2~3日はこの家で休んでください!!」


「それとも何か、大事な事でも思い出したのですか?」


 俺は頭を押さえながら、リンに困った表情で話し始める。


「リンさん」

「俺は、入水自殺をしようとした人間です!」


「俺が死んでいれば問題は無いのですが、生きている以上。俺は自分の町に帰らないと行けません」

「この家からの最寄り駅は、どの辺りに有りますか?」


「……最寄り駅?」

「それは何ですか。スズヤさん??」


「へっ!?」


 俺の言葉の後。リンは尋ねる表情で俺に聞いてくる。

 俺はリンの言葉で、間抜けな声を出す。


 鉄道駅を知らないなんて、有り得ないからだ。

 俺は『目をぱちくり』させながら、リンに話し始める。


「電車の駅ですよ。リンさん!」

「JRとか○鉄とかの、電車の駅ですよ!!」


「……すいません。スズヤさん///」

「私は、スズヤさんの言っている事が理解出来ません///」


「電車の駅なんて、初めて聞きました…」


 リンは申し訳ない表情で俺に話す。

 俺は冗談かと思ったが……リンの表情を見る限り、嘘を吐いているようには見えない。


 俺は今。一体何処にいるんだ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る