星光街アキラ画報

金星タヌキ

プロローグ



「N県新聞協会 会長賞

 常縁寺じょうえんじ小学校 5年

 日比野ひびの あきら殿

 あなたは 第二十一回 小学生新聞コンテストにおいて……」


 全校の児童の前で 校長先生から賞状を受け取る 長い黒髪の女の子。

 その得意満面の笑顔を見ながら 僕の心臓は痛いくらいに ドキドキしていた。

 その子が 絶世の美少女……とか そんな話では まったく無い。


 彼女は今 夏休みの自由研究でまとめた『常縁寺夏休みニュース』で 表彰されてるワケだけど……だけどだ。

 その新聞をなんだ。

 確かに 取材は彼女がやった(僕もついて行ったけど)。

 しかし 彼女が書いた取材メモみたいな文章を 読める形に直したのは僕。

 なんなら パソコン使ってワープロ打ちしたり レイアウト考えて割り付けしたのも僕。

『常縁寺夏休みニュース』は 7割8割 下手したら9割くらい僕の作品なんだ。

 

 もちろん 盗作されたとか ズルいとか思って怒ってるワケじゃない。

 むしろ逆。僕は 全校の前で校長先生に表彰されるとか 恥ずかしいから 絶対に嫌だ。僕が心配なのは そこじゃあない。

 僕の不安は 大層な賞状なんか もらっちゃって もしバレたら 先生に すごく怒られるんじゃあ?ってこと。それが滅茶苦茶 不安。


 それと もう1つ。

 それは 彼女の性格にある。

 あの調子乗りの晶が こんな立派な賞 もらっちゃった日には………。

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