社畜、情報屋に連絡する
あいつはいったいなんなんだ?
俺は家に向かいながらそんなことを考えていた。
なんだっけ、確かランキング9位とかいってたな。
9位って女の人だったんだな。
ってそんなことよりも!
なんで俺のことを知っている?
いやそりゃ動画を出してるからわかるとしてもなんで俺がオークションをやるとわかったんだ。
しかもあの席に座って。
俺は動画でも受付のスタッフや警備員にしか言ってないぞ?
ってか質問してないぞ?
動画にも出した覚えはないし……
「よし、癪だがあいつに頼るか」
俺はそういうと、とある人に電話をかけた。
『お、お前からかけてくるとは珍しいな』
まるで珍しい生き物を見たような言い方でいったソイツに不満を感じる。
『あぁ? なんだと? 斉藤』
『悪かったって。でも実際そうだろ? お前からかけてくるのは……ほとんどの俺らの電話は俺からかけてたし』
まぁ確かにな。
俺から斎藤にかけたことって今のを合わせても両手で足りるくらいしかやったことない。
でもまぁそりゃあそうだろう。
何も用がないのにかけるは必要ないからな。
その時は給料少な過ぎてスマホ充電の電気代もキツかったから……
うぅ、苦い思い出が……
ま、まぁ、一回それは置いておいて目的を果たすとしよう。
『そうだな。確かに俺がかけたことは少なかった、とこれくらいで前置きは終わりにして用件を言ってもいいか?』
『要件? なんだ、いってみろ』
『まぁ、簡単な話だ。ソロダンジョンランキング9位のプレストの情報ができる限り欲しい』
『プレストォ? いったいなんでそんな奴のことを……』
まぁ、そうなるよな。
いきなりそいつを調べて欲しいって言っても。
『いやな、ついさっき俺さ、ダンジョン協会なオークションを見てたんだよ』
『ほぉー、お前がオークションにね。どうだった?』
斉藤が驚きの声色で俺にそう聞く。
『まぁ、面白かったよ。オークションってこんな感じなのか……って思った』
『なるほどなぁ。で、そのオークションで何があったんだ?』
『最後の商品をプレストが勝ったんだがな、その後に俺の方に向いて挨拶されたんだ。動画でもオークションをやるとは言ってないし尚且つ隣の席の俺をストだと確信していたからさ、他にもたくさん席があるのに』
俺がそこまで説明すると斎藤は納得したように『それで調べて欲しいわけだ』といった。
やっぱりコイツはうざったいところもあるが情報面とかそう言ったものではすごいんだよなぁ。
実際に俺がネットで調べても実績とかランキングに載った経緯とか「こんな感じの技を使うよー」的なものしか出てこなかった。
こういうのは得意なやつにに任せたほうがいいだろう。
昔から斎藤はこういうの得意だからな。
俺がそんなことを考えてから数分後、斎藤から再び電話がきた。
『終わったぞ』
『早いなオイ!』
『まぁ、専門家なんで。で、プレストの情報なんだが……』
斉藤に言われた情報を簡単にいうとこんな感じだった。
1、プレストは世界的財閥である琴乃采花ことのさいかである。
だからこそ、超絶高価な魔導武具《アーティ
ファクト》をたくさん買うことができ装備と
かは魔導武具で固められている。
2、スキルは『魔物支配』、モンスターを操る
ことができる。
ただし、自分のレベルより低いモンスターに
限る。
3、世界的財閥ゆえに情報網がしっかりしてお
り、俺がオークションをやることをどこかか
ら仕入れることができた。
とのことだった。
うぉ、すげぇな金持ちパワー。
それだけで俺がオークションに行くことも俺の席のこともわかるのかよ。
数時間前に決めたことなのに。
てか魔導武具をたくさんもって装備しているって?
『てかよくこんなに情報集められたな』
『まぁな、俺は情報屋だからな。いろんなところにパイプがあるんだよ』
『なるほどなぁ。と、報酬はどうする?』
いくらうざいやつとはいえ流石に報酬は支払った方がいいからな。
あいつは情報屋としてはめっちゃ優秀だし、俺に配信者って道も示してくれたし少しいいやつかもって最近思ってきたんだ。
『報酬? そんなのもう受け取っているからいいよ』
『は?』
もう受け取っている?
どういうことだ?
『お前の動画の……まぁ、主に戦闘シーンで の切り抜きがスッゲェ儲かっててな。だからいいんだわ』
……
………
…………。
前言撤回。
コイツはどうしようもないクズでした。
『お前……許可取らず勝手に……』
俺がそういうと斎藤は悪気なくヘラヘラと
『別にいいじゃねぇか、ずっと儲かってるんだろ? 少しくらいはいいだろう』
『はぁぁぁぁ、もういいわ。今回の報酬はこれで終わりだ! これから頼むかもしれない時は無償でやれよ!』
『OKOK、お前はほとんど連絡しないから役な仕事だわ。じゃーな!』
そうして斎藤は一方的に電話を切った。
「よし、次あいつにリアルであった時はぶん殴ってやろう」
俺は絶対的な覚悟を持ってそう決めた。
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