ウタヒ
一粒
冬眠
冬になると予約がぐっと減る。
朝起きて仕事に向かい、帰宅して風呂に入り就寝。休みは、瞬きするかの如く少ない。
この暮らしが、桜が咲いた頃に始まり、枯れ葉が落ちる頃まで、もうろうと続くのに、葉が落ちて、丸裸の木々に、地肌が丸見えの山々になると、パタリと客足は遠のく。
そして、私の私生活もガラリと豹変する。
昨日までは、職場に居続け、今日からは、自分の部屋の中に居続ける。冬眠する熊のように、穴から出ない。
「可怪しいと思わない?」
「一昨日も、昨日も、今日も、仕事に行かないのよ?」
「いったいどうやって生活しているのかしら?」
建物の外から聞こえる声に、冬眠していた筈の私は、居心地の悪さを感じ、もぞもぞとする。
社会との関わり方が見いだせない、引きこもり、ニート、社会脱落者。
月曜から、金曜日まで、日中、会社に働きに出て、土曜日、日曜日、休日となる、世間一般の生活リズムと異なる生き方をすると、奇異の目で見られる。
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