誕生日

「さてみんな!アリアお姉ちゃんの13歳の誕生日パーティーを始めるわよ!」

院長がそう言うと

「お姉ちゃんはお誕生日席だよ!」

数人がアリアの手や背を引いたり押したりして進ませる

「お、お誕生日席?」

「あれだよ」

一人の子が指さした先には

「え?」

まるで王様が座るような椅子があった

「今後使うことも考えて私のへそくりから出して基礎の椅子だけ買って残りの装飾はみんなで飾り付けたのよ。これからこの孤児院の象徴にしようかと思ってるほどの出来ね」

院長はそう言う

「え?あの装飾って宝石とかありますよね?!」

椅子にはキラキラ輝く物体が至る所に付いていた

「いくら安い宝石だとしてもあの数だったらお金が、、、」

アリアが心配そうにそう言うと

「大丈夫よ。まず私の固有魔法で質の悪い宝石や質は良いとしても小さい宝石を創ったの。そのあとにみんなが加工したり接合させたりして添えでできた物を椅子に取り付けたのよ」

院長がそう種明かしをした

「え?院長固有魔法あったんですか?!」

「ええ。時間と魔力を掛ければ売れる物も作れるからそれでこの孤児院の運営費を稼いでいたのよ?まだ幼かった頃のアリアに話したら確実に私も何かって無理しそうだから黙っていたのよ。今も冒険者って言う危険な仕事はしてるけどしっかりと地に足の着いた依頼しか受けてないようだし、、、そもそもやばそうな依頼をアリアが受けようとしたらギルド側が止めてっていう私のお願いがあるからね」

「、、、まだまだ私は院長の後継には遠そうですね」

アリアはそう落ち込むが

「最も大切な子供達を思う心があるのだから大丈夫よ。それにまだ13歳よ、、、まだまだ子供なんだから子供らしく振舞ってていいのよ」

院長はそう言うのであった

「そんなことより今は誕生日を祝われることに集中しなさい!」

そしてアリアを抱きかかえて椅子に座らせるのであった

「ケーキ持ってきてちょうだい。ロウソクもね!」

院長の言葉に

「はーい!!」

「わかりました」

アビスとセリアが

「アリア(様)!お誕生日おめでとう!!」

「お、大きい」

大きな大きなケーキを机に乗せた

「サタナエル式ロウソク投擲術」

スパスパスパ

「「おー!!」」

一瞬のうちに等間隔にロウソクが刺された

「ファイヤー・ショット」

そしてロウソクに火が付けられた

「さっ、アリア。一息で吹き消せるかしら?」

「もちろん!」

アリアは息を吸い込み

フー!!

ロウソクの火を一息で吹き消した

「「誕生日おめでとう!!!」」

しかしこの孤児院の暖かな雰囲気は拭き消えることは無くむしろ燃え上がるのであった




「美味しかったー!」

パーティの食事を終えたアリアは満足そうにそう言う

「かなり多めに作ったからやっぱり余ったわね。明日まではしっかりと保つ物が多いから問題ないけど、、、さて!みんな歯を磨いてもう寝なさい!」

院長がそう言うと

「「えぇー!!」」

皆不満の声を上げる

「お姉ちゃんみたいに強くなれないよ」

アリアがそう言うと

「「うーん」」

みんなの心が揺らいだ

(ふふん!みんな私のこと目標にしてるのね!)

そんな様子を見たアリアはそう考え喜ぶ

「アリア?喜ぶのは良いけど知力でも目標にされるように頑張りなさいよ」

そんなアリアに院長がそう言うと

「ぅ!」

「確かにー」

「そうですね」

「「あぁー、」」

精霊や子供達はそんな声を上げるのであった

そしてそんな時だった

「「ん?」」

アリアと院長とアビスが玄関の方を向く

「どうしたの?」

セリアが3人にそう聞くと

「誰かが玄関を叩いてる」

「こんな夜遅くにどうしたのかしら?」

「、、、見てきます。アビス、セリア一緒に来て」

アリアはそう言って席を立った

「「うん(はい)」」

そして精霊2人はアリアに着いていく

「気をつけなさい」

「はい」

そうしてアリアは玄関へ向かうのであった




コンコンコン

「すまない!誰か居ないか?」

扉のノックと共に凛とした女性の声が聞こえた

「、、、はい。今開けますね」

(開けた瞬間に切り込んでくるかも。気をつけないと)

アリアは警戒して扉を開ける

ガチャ

「ありがとうございます」

扉を開けるとそこには

「さ、侍?」

御伽話などで出てくる侍の特徴と酷似した少女が立っていた

「先ほどこの街に辿り着いたのですが宿を取ろうにも女一人では怖くそれをギルドで相談したところここを尋ねろと」

そして少女はそう言った

「なるほど!でしたらこちらにどうぞ。ここの責任者に会わせますので」

(ひとまず怪しい点は無い。大広間に連れて行って問題ないわね)

少女に対してそう判断した風香は少女を院長達に合わせることにした

「そういえばお姉さんのお名前は?私はアリア・サタナエルと言います」

「私はカエデ・サンモンジ、、、ご想像されているとは思いますが極東の国ヤマトの侍です。今はより高みの世界に行くために旅をしています」

アリアとカエデはお互いに自己紹介をする

「侍、、、確か刀という特殊な剣を使うんですよね!」

「ええ。切れ味が他の刃物よりも鋭い代わりに一方にしか刃が付いていないの。でも峰打ちとか撃ち返しとかできるから便利よ」

そんな和気藹々と会話する2人 この出会いが後に世界を、、、過去を変え未来を掴む旅にアリアを連れ出すことを今はまだ誰も知らない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る