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 チョコマカと壁伝いに逃げ惑う獲物を、捕食者は四本の腕をそれぞれ伸ばし捕らえようとしたが、何れも寸でのところでつかみ損ねた。

 黒光りする肌に埋め込まれた鋭い眼は、決して獲物の行方を逃さない。人の三倍程の背丈を、器用に折り畳んだ二本の脚で支え、クルリと方向転換してコーナーに追い詰めた。

 うずくまり身を震わせる獲物を一瞬だけ見下げると、大口を開いて舌なめずりをした。大量の涎が床まで滴り、獲物の足元までをも濡らす。

 完全に行く手を塞がれた獲物は、腰を抜かし、ただただ怯えた表情を見せるのみ。

 再度、腕を伸ばすと、今度は左の第二手の掌中に胴体をおさめることができた。

 獲物は必死の形相で手足をばたつかせ、逃がれようと試みるが力の差は歴然で、なす術もない。挙句、胴体は締めつけられ、断末魔の雄叫びも次第に虫の息へと変わった。

 捕食者は、左の第一手の甲で涎を拭うと、絞め殺したばかりの新鮮な食材をオーブンへと放り込んだ。

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