どうやら俺は、駄女神に転生したらしい、件

@soda_souma

第1話 白い部屋

……。

……。

……。

……。

白い。

白い世界。

目覚めると、そこは白い世界であった。 ― 完 ―

じゃない。

現実、ではない。よな、ここ。真っ白い世界って。

……。

……。

……。

白い世界。

お? これは、あれか? あれなのか? と、いうこと? なの、では?!

……。

……。

俺、死んだのか? 何時? そんな記憶ないが……。

……。


俺、参上!


とりあえず、ポーズを決めてみる。それではっきりと体があるのがわかる。あるにはあるが、なんかぼーっとしてる。薄いともいう。服とかない。全裸。全裸だけどなんか全裸っぽくない。半透明だからだろうか。

なんというか、霊? っぽい? にしてはしっかりしすぎてる気がする。いや、霊に詳しいわけじゃないんだが、しっかりした霊って何? って思うよね、やっぱり。境界線はもやっとしててほしいよね、霊ならば。

年齢的には……若返ってはいない。おっさんはおっさんのままだ。

俺、死んだのか。

でも記憶、ないんだけどなぁ。「俺って死にましたか?」って誰かに聞きたい。

他人に頼りたい。客観視してほしい。

見渡しても、誰もいない。「だれかいませんかー」と言っても反応なし。

うーん、認めたくないんだが俺ってやっぱ死んだんか。この白い世界に居るわけだし。認めたくないんだがなぁ。

トラックで轢かれた? それとも、病気のパターン? 過労死? それとも刺されたんだっけ?


白い世界、キター!


違うポーズを取ってみる。

記憶は、ある。だって、変身ポーズがとれるのだから。

だが、ここに来る直前のことだけがわからない。モヤっとしてる。……うーん、ま、いっか。この際。思い出せなくても。死んでる確定でも、思考できて動かせる体っぽいのがあるんだし。

それに「あの!」白い世界だぜ! これもう、シンでありRe: でしょ?! 異世界転生の第一関門突破は「確実」ですってことでしょ!

異世界転生の始まりはじまりー! くうーっ! ワキワキしてきたぞっ!

さあさあさあ! 誰が出てくる? どんな神が?

女神? おじいさん系? やっぱ紳士? 意外な大穴、魔王系とか?

神々がいっぱい出てくるパティーンだって、インキャな俺でもウエルカムっすよ! 

……。

……。

……。

誰も出てこない。

待てど暮らせど出てこない。

何度も周りを見渡しても、だれもいない。何度「誰かいませんかー」といっても返事がない。

白い空間があるだけ。

いや、空間と言っているが、なにか区別する壁のようなものがあるわけではない。

床? 地面? があって、あとは白い世界。それだけ。

だってさぁ、全部が真っ白だぜ? 距離感なんかない。なにがなんだか……。


とにかく。

待つ。待ってやろうじゃないか。というか、とりあえず待つしか出来ることがない。選択肢がひとつしかない。

一分。

十分。

一時間?

正確な時間は分からない。でもとにかく待った。まあ一時間も待ったりしてないはず。とにかく長く待った。

しかし、何も起きない。誰も来ない。なんの変化もない。


これは? まさか? 外れ? 異世界転生出来ない???

忘れられちゃってるやつ?

狭間の狭間におっこちちゃったやつ?

それともこっちがオタオタしてるのをどっからか見てニタニタしてるってーの?!


よし、そっちがその気なら、こっちはいつまででも待ってやらぁ!!

……なんて思うわけもなく。

大声で悪態を着きまくる。

アホだのバカだのふぁっくだの。思いつく限りの悪口を「神」に向かって吐いた。

声がどこまで届いているのか少し自信がないが、とにかく叫び続けた。

……。

なにもおきない。

はーーっ。

この際、駄女神でもいいから、とっとと、さらっと、出てきて話を進めてくれ……。

白い世界(作画は楽だよなぁ)。

薄い俺(楽だよなぁ)。

それだけ(超楽だなぁ)。

……。

こりゃ完全に外れだ。異世界転生キター! どころの話ではない。

気のせいか体の透明度も上がってきてるような……?

このまま消えるの? つまり逝くの? そんな結末? ありなの?

……。

べつに、それでいい、か、なぁ……。

……。

なんて、おもう訳、ねーべな!

消えるのも、死ぬのも、嫌なんだが!?!?

「とりあえず一発殴らせろーーー!!」

じゃなかった。暴言で出てこないなら。こっちでしょ。

「誰でもいい! 誰かーーー助けてくださーーーーーーーーーーい!!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る