第3話
「あんたは無事に家まで帰れない。」
あー、そういう感じか。
案外無愛想ぽいのに優しいんだな、こいつ。
「どんだけ酔っ払ってても家の場所はわかるぜ。」
「あんたは数時間前、秘匿特等指名手配になった。今頃
「お前冗談とか言うタイプか。」
なんだよスペシャルズって。今際の際きわで踊りましょうってか。
俺は何だか面倒くさくなって、ウイスキー一瓶と拳銃、果物ナイフ、アイスピックを持つと青年に声をかける。
「じゃーな。次会うときはもっと利口に振る舞えよ。死ぬぞ。」
● ○ ●
ドアを開ける寸前、何だか悪寒が走った。
殺気、否、命の危機。
なんだかそう言うものを感じて、指先が震える。
右足を振って大きく店のドアを蹴り飛ばすと、俺は歩道に出る。ドアに弾丸が当たる―――なんてことはなく、静かにドアが落ちた。障害物も路地もなく、ただ大通り。
まずいかもしれない。
間も無く乾いた音が聞こえた。
体が動いたのは本当に無意識で、12歳から命のやり取りを繰り返してきた体が反応したのかもしれない。
「ッ...」
急所は外した。だが肩を撃ち抜かれた。
俺の体を貫いた弾の軌道から見て、遠くからの狙撃ではない。近くにいる。
息を止め、蹴り飛ばしたドアを素早く構える。示し合わせたようにダダダダダという轟音と振動が伝わる。
道に出るとき、ドアを蹴るフェイントに微塵の反応しなかった。
近くにいるはずなのに、気配と殺気を完全に絶っている。
「施設卒だな。」
鉄の雨が止んだ。リロードか。
俺は最小限の動きでアイスピックをサブマシンガンの方へ投げる。
小さく鈍った呻き声が聞こえて、俺は命中を確信する。
「オーケー、反撃開始だ。」
パァン!
サブマシンガンの方へ発砲し、やつの息の根を止めるとともに音の反響から敵の位置を調べる。俺が消音器付きのピストルを使わない理由の一つだった。
13、いや14人が円形に陣形を組んでいる。背後に2人。
「っし」
振り向きざまに背後へ二発発砲。
この道を照らすのは最小限の街灯。
こちらが向こうを見づらい代わりに向こうもこっちを見づらいはず。そう踏んでの銃撃である。
だから。
闇を切り裂いて疾風のように旧友が出てきたとき、一瞬動きが止まった。
「ぐ」
ナイフが腹に入る。右脇腹。
「久しぶり、
「...
クソ。血が吹き出す。致命傷ではないが、少し厄介だ。
0回生は殺しの技術がある少年を拾いさらにスパルタ教育で技術を詰めていく実験的な教育だったため、全員が強い。丸腰で銃を向けられても相手を殺せるし、紙一枚あれば頸動脈を切れる。
「
「お前がいるということは0回生が絡んでいるのか。」
「そういう感じか。」
背後からの銃弾を避けると俺は気配を絶つ。
「やるね。」
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