転生アサシン
夜野やかん
セトが生まれてから死ぬまで
第1話
喉が焼けるように痛く、目は霞み、頭はボーっとしてきた。「やっぱ毒殺は...嫌だったな。」そんなふうに呟いてみる。毒殺される反逆者は見たことがあったし、死ぬ瞬間の悶え苦しみ方も見たことがあった。しかし体験してみるとなかなかこれは...しんどいな。
俺は一瞬にも、永遠にも思える時の中で昔のことを想い出していた。
――――――――――――――――――――
名前はセト。あってないようなものだが。姓は知らねえ。オヤジは面を見たこともねえが、碌でもない男だろう。お袋は俺を産んでまもなく死んだ。
物心着いたときからグチャグチャの戦場にいた。誰が
瓦礫の下に落ち散らばった飯を食い、鉄骨から滴る雨水を飲んだ。時には死体から銃を拾い空を飛ぶ鳥を撃った。またある時にはナイフで池を泳ぐ魚を突いた。生きる術はいつの間にか身につけていた。
ある日、俺を殺そうとした兵士がいた。俺が集めた食糧を奪おうとした兵士だった。俺が死に物狂いで逃げ回ると、兵士がやたらめったらに打った銃弾が偶然細い支柱に当たって廃墟の屋根が崩れた。運悪く、俺に取っては運良く兵士は屋根の下敷きになった。俺は兵士の死体からたっぷりと銃弾の込められた銃やまだ錆びついていないナイフを取り上げると、自衛の術を学んだ。生きていくには相手を殺すことも必要だった。
「戦場で人を殺し食糧を奪うガキがいる」
と言う情報は瞬く間に千里を駆け、俺は9歳の頃に(この頃は自分が何歳なのか知らなかったが)
俺が戦場に出てから3年、施設出身の兵も増えて
俺は最前線で戦い続けていたので、戦争が終わったことを知ったのは終戦から4ヶ月後だった。
人を殺すことしかしてこなかった人生で、突然人殺しは違法になった。鬼のような形相で敵兵を殺していた兵士は平和な顔でパン屋を始めた。戦争を支援していた金持ちのジジイは戦争は悪だと宣った。
耐えられなかった。食い扶持を稼ぐために俺は殺し屋になった。人を殺す技術だけはあったので安定した生活を送れた。
たくさんの政治家や金持ちを殺した。
いつしか『死神』と呼ばれるようになった。
俺が殺しを依頼される奴は全員金持ちで、あちこちで恨みを買っているんだと思った。
当然そんなことがいつまでも許されるわけもなく、まもなく俺に政府から刺客が送られてきた。それが数時間前のことだ。
一仕事終えて行きつけのバーで一休みしていた。つまるところ油断していた。
20歳手前くらいに、いやそれよりも若く見える青年が、俺に声をかけてきた。
「『死神』はお前だな。」
00は俺の施設にいたころの名前で、施設でしっかりとした教育基盤ができる前の0回生という意味をはらんでいた。
「『死神』? なんのことだかな。」
そうシラを切ると同時に、俺の腕は相手の喉へ伸びていた。
捉えた。
終わりだ。
そう思ったのも束の間、俺の右手が相手の腕で止められたことに気づいた。
初撃を防ぐとは、かなりの切れ者だ。
「
「...へえ。」
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