第20話 ワールドエリアボス3
「ア~ズ~! 会いたかったぜぇ~!」
西の攻略最前線、クレンの町。俺達はコトの街から来ると言うケイを待っていた。
そして、大声で叫びながら飛びついてくる金髪イケメンを……避ける。
「どぅぁ~~っっっ」
残念な金髪イケメンはそのまま地面にダイブした。
「派手に転んだな……ケイ」
「えーと、アズさん、この人がお友達でよろしかったですか?」
「ん、アズの友達は面白い」
周囲の目が痛いこともあり、道の真ん中に倒れているケイに手を貸して立ち上がらせた。
「なんで避けるんだよ。あ、アズの親友のケイです。アーサーと愉快な仲間たち所属ですが、エリアボス戦の間はアズとパーティーを組みますんでよろしくお願いします」
「ん、私は
ワールドエリアボス戦では俺達四人に加え、店長と
「はい! よろしくお願いします。……おお、アズ、本物の眠茶さんだよ、眠茶さん」
ぶつぶつと小声でつぶやいているケイはスルーして打ち合わせのため帽子屋へと移動した。
◆ ◇ ◆
「……つまり、俺はタンクとしてアズを守れば良いんですね。まぁ、大船に乗ったつもりで任せてくれよ、アズ」
どうやら、ケイは所属しているクラン『アーサーと愉快な仲間たち』の中でそれなりに有名なタンク役だったらしい。店長と兎兎さんもケイのことを知っており、お陰でドヤ顔がうざい。
「いや、泥船じゃないだろうな。しかし、ほんとに
ベータ勢とは聞いていたが攻略組のトップクランに入っていたなんて聞いていなかった。
「ああ、アーサーの奴が軽いけど上手いタンクがいるって言っててな」
「銀ちゃんとアサくんとは友達だからね、よく話はしているんだよ」
店長と兎兎さんによると
「ところで兎兎さん、タンクで『軽い』って結構不利な条件ですよね?」
アンメモに
スキルとして『盾術』や『盾士』のような複合スキルはあり、そのようなスキル構成を取るものが『タンク』という役割を名乗っている。
なお、スキル『魔術』や『魔術師』は発見されていない。
そして、
そのため、攻撃に押し負けない重量があった方が良いとされている。
「あ、それね。タンクとしての重量の話じゃなくて、目を離すとすぐに女の子に声を掛けてるらしくって……」
「ケイ? お前…、そんな奴だったのか……、って、そんな奴だったわ」
そう言えば、この前アンメモの話をした際もエフィや眠茶さんに兎兎さんの話ばかり聞いてきていた。
「アズさん、お友達は選んだほうが良いと思います」
エフィがジト目になってケイを見ている。
「いや、アズよ、俺達親友だろう?!」
近寄って来るケイを引き剥がす。
「エフィ、安心してくれ、こいつとは席が近いだけの只のクラスメイトだ」
「あ、そうだったんですね。安心しました」
「ちょっ、アズも自分だけエフィさんみたいな可愛い彼女が出来たからって薄情だぞっ!」
「待て、エフィは別に彼女では……」
「か、彼女ぉ……あ、アズさんの友人もナンパ野郎かもしれませんけど、見る目はありそうですし、パーティメンバーとしては認めましょう!」
ケイが彼女なんて言い出すからエフィがわたわたと真っ赤になっている。
「お、おぉ、認めてもらえて良かったよ」
若干引きながらもケイがホッとしている。
「ん、ケイは面白いからボクもパーティメンバーにしても良い」
「とりあえず、これでケイも正式にパーティメンバーだな……って、みんなもそれぞれのクランがあるのに俺と固定パーティを組んで大丈夫なのか?」
エフィは女性だけのクラン『
「私はアズさんと一緒で楽しいですよ。それに、クラマスにも伝えてありますし問題ありません」
「ん、面白いからボクもアズに着いていくよ。ね、店長」
「ああ、情報クラン『ジャバウォック』としてはアズ君の情報は珍しいものばかりで外せないからな。どちらかというとこっちの方からお願いしたい」
図らずもワールドクエスト『精霊樹の復活』のトリガーを踏んでしまった俺は情報クラン的に重要人物となっているらしい。
「ワールドエリアボスを倒すまでは私と銀ちゃんもパーティメンバーだからよろしくね。ちょうど六人パーティが組めるし」
アンメモのパーティ人数に特に決まりはないが四人から六人ぐらいが適切とされている。
ワールドエリアボス討伐は各クランよりすぐりの複数パーティが連携して挑むレイド形式だ。
「レイドの開始予定は昼過ぎで良かったですか? ウチのクラマスときたら
「アサオの奴、相変わらずいい加減なことを……、リアル時間の十五時に現地集合になってる。移動もそこそこかかるんで連携の確認をしながらそろそろ向かおうか」
クレンの街から川を超えて進んだ先の海岸。ワールドエリアボスを目指して俺達は出発した。
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