第3話 三原中学校編(3)

バリン、ガラスが割れる音がした。麻里と海斗たちが投げたボールがガラスに直撃したのだ。しかも、廊下側の壁のガラス。3年C組前の廊下を歩いていた生徒はガラスの雨を浴びてしまった。最悪なことに一番浴びてしまい擦り傷などの怪我をしたのは姉の奏だった。近くにいた田村と秋元は跳んできて奏を保健室に連れて行き、その日は早退した。実は以前、「麻里をチームに入れてくれないか」と奏に頼まれたことがある。やはり、許可を出さないで正解だった。その後、麻里は先生に大勢の前で叱られ、それから学校に来なくなった。ある日、奏から電話が掛かってきた。

「もしもし、生駒君?」

「そうだよ、どったの?」俺は聞いた。

「麻里をサンダーズに入れて欲しいの」

「ごめん、奏は嫌いじゃないけど麻里のサンダーズ入りは許可出来ない」僕は断った。

「麻里があの日以降学校に行けてない。今、麻里に必要なのは信頼出来きて自分を受け入れてくれる仲間だと思うの」奏は必死に説得させようとしている。

「しばらく待ってくれ、また連絡する」そう言って僕は電話をきったのだった。僕は、その後田村に相談した。

「奏の気持ちはわかるけど個人的には辞めといた方がいいと思うだよね」

「確かに、俺も賛成は出来ない」田村も言った。

しかし、唯一賛成した者がいた。秋元だ。

「俺はいいと思う。ああゆうタイプの子は男子に好かれるし俺は賛成」

「でも、輪を乱すような事をサンダーズでされては困る」俺は秋元に反対側だと伝えた。

「最悪、邪魔だったら強制引退させれば」秋元の声がワントーン低くなった。本気だ。

次の日、奏には麻里の合流の件は秋元の方から伝えた。しかし、僕はまだ信じることが出来ず不安で仕方なかった。

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