14. Lio's kitchen

※以下、料理番組の吹き替えを想像してお読みください。



 さぁ、お待ちかねのチーズバーガー作りを始めよう。バンズに使えそうなパンがないから、生地から手作りってことになるのかな。バンズを作るのに必要なものは……ええと、小麦粉だ。それと牛乳と卵。パンケーキを作る時とそんなに変わらない。これなら楽勝ってわけさ。


 ボールに入れる小麦粉の量は適当。あと卵も1つで十分だろう。牛乳の量もこのくらいかな……おおっと、少し入れすぎたか。まぁいい、小麦粉を少し追加すれば……って、あれ? 小麦粉の袋はどこへ行った? さっきまですぐそばにあったのに。あっ、こら子どもたち、小麦粉を顔に塗って遊ぶのは辞めたまえ! いいかい? これはお化粧道具じゃないんだ。おい、小麦粉の袋を槍投げのフォームからぶん投げるのも辞めろ! ほら見ろ、もう床は雪が積もったみたいに真っ白じゃないか。


……とりあえず後片付けは最後だ。


 生地を捏ねて丸くバンズみたいな形にしたあとで、オーブンにINする。少し柔らかい気がするが、まぁそれもご愛嬌。


 生地が焼けてる間に、中に入れるハンバーグを作るとする。ええと、冷蔵庫の中にひき肉は……と……。


ーーえ? 


‥‥‥ない?


 何てこった! ハンバーガーを作るのにひき肉がないだって?! 


 仕方ない、ここは知恵を絞ろう。何か代わりになるものは……。お、ウィンナーがあるじゃないか。賞味期限は5日前だが、まぁいいとしよう。匂い的にはセーフだ。これを焼いてパンに挟めば、きっとそれっぽくなるに違いない。


 肝心のチーズはあるか? 2段め、奥の方に使いかけの白いそれっぽいのがあるが……。これはニュージーランドのフラワー・ファームのマスカルポーネチーズじゃないか! しかも若干カビが生えている! だがまだブルーチーズには及んでいないから、カビの生えている部分さえ取り除けば何とか食べられそうだ。


 そろそろパンが焼ける頃だな。オーブンから香ばしい匂いがする。若干焦げ臭い気もするが気のせいだろう。


 ウィンナーをフライパンで焼く間、少し生地を冷まさないとな。手や口を火傷したら大変だ。子どもの皮膚と舌ってのはデリケートだからな、用心用心。



20分後ーー。



 さて、手を火傷しない程度には生地が冷めたから、子どもたちに具材を挟むのを手伝ってもらうことにしよう。

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