第11話

やがて四限が終わった。もちろん数学の時間は寝たよ。睡眠不足だったしな。隠業をして、周囲から目だないようににしていた。いつの間にか寝ながられでも術をできるようになったんだよな。奏には通用しないが。素人なら十分通用するから使わせてもらっている。


やがて昼休みになったので、俺は奏の愛妻弁当を持つと、冬優花が話しかけてきた。


「お昼お弁当なら一緒に食べない?」


「日向に聞いてからな」


俺はラインで日向に冬優花も食べていいか聞くと、すぐに返信が来た。今日限定で丸井と一緒に食べるらしい。なんか周囲を使って強引に推し進めたらしい。やっぱりこのタイミングで丸井は動いたか。振られてショックを受けたタイミングで慰めて自分の物にしようとしてるんだな。丸井に取られるなら俺が日向を幸せにする。和希だから諦めていたが丸井なら別だ。


「日向は丸井と一緒に食べるらしい」


「ああ、あの胡散臭いイケメンね。私もしつこく誘われたことあるね」


やっぱり噂は本当だったか。女子をとっかえひっかえしてるという。そしてもれなく付き合う女子はみんな美少女という。だが不倫を余裕でするらしいから、日向は幸せにはなれないだろう。そんなやつに日向は渡すわけにはいかない。


「丸井はなにかを企んでいる気がするんだよな」


「気を付けた方がいいよ。良くない噂も聞くしね」


「良くない噂なら俺も良く聞くが、犯罪に近いことか?」


「うん、無理矢理襲ったのに親の権力を使って揉み消したり何回も妊娠させて下ろさせたりとか、丸井に興味のない人間はそれがあるから近づかないようにしてるのよ。まぁ丸井はイケメンだからそんなのどこかの男が流した嫉妬の噂でほとんどの女子が思ってるらしいけど」


ますます日向をあいつの元に置くのは危険だな。日向が振ったら何をしてくるか分からない。日向が振られたなら俺が幸せにする。イケメンにも誰にも渡さない。それにしてもイケメンは何をやっても許されるみたいな風潮がどうなんだ?


「そうか、尚更日向はやれないな。振られたなら俺が日向を守る」


「日向愛されてるねー。、、、、羨ましい。なんで日向ばっかし」


「まぁ日向は大事な幼馴染みだからな。和希が振ったなら俺はアピールをする」


「そうかー。まぁ私も好きな人に振り向いてもらえるように頑張らないとなぁー」


幼馴染みで1番近くにいる主人公である和希じゃなくて違う人を好きになるとはいったい誰なんだろう。めちゃくちゃ気になるが黙っておこう。教えてくれたところでなにかができるわけじゃないし。まぁ主人公を越えてくるんだからイケメンなんだろうな。


「頑張れよ。それじゃお昼ごはん食べるか」


俺達は弁当を開けた。奏気合い入れすぎだろ。ハンバーグに生姜焼肉だらけだな。まぁ好きなんだけど。だがごはんのところにハートマークを作るのはやめてほしい。彼女だって勘違いされるだろ。奏のブラコン具合も相当だな。多分周りを警戒してるんだろうな。そんなことしなくたって俺は奏から離れないぞ。


「ハートマーク?もしかして日向ちゃんに作ってもらったの?」


気温が少し下がった気がした。冬優花は無表情だ。日向は和希を好きなのに他の男にお弁当を作るのは気に入らないのだろうか?まぁどのみちこれは奏が作ったものだから説明すれば大丈夫だが。ハートマークは問題だがな。だけど彼氏を作ってほしいとは思わないが。


「いや妹だ。いつもは週末に来るんだが、今日学校か休みみたいで、昨日家に来たんだよ。だからついでにお弁当を作ったんだろ」


「ふぅーんそうなんだ。一豊には妹がいたんだね」


「まぁな超絶可愛いぞ。俺の妹だと分からないくらい」


まぁ義理だから似てるわけないんだが。それを加味しても可愛すぎるレベルだ。


「へぇーそれなら良く告白とかされるんじゃない?」


それが問題なんだが、いつか告白をされないように彼氏の振りをしなければならないのだろうか?というか俺が彼氏だと言っても何人信用するか。まぁそれは奏次第か。


「されるな。だからそれを防いでほしいとお願いされてるしな」


「告白を防ぐなんて容易じゃないけど。どうするの?」


「彼氏の振りをする。奏とは義理の兄妹関係だからばれることはないだろうしな」


すると冬優花はまさかという顔をしている。まぁ今時子連れの結婚は珍しいからな。しかも美少女だし、どこの主人公だよという話だよな。義理だからスキンシップにはドキドキするからそれを治してほしいよなぁー。一緒に寝るし、危機感を持ってほしいものだ。


「義理ね。、、、、あのお弁当からして好意を持ってる可能性がある。むしろ周りを牽制してる意味合いが強そう」


「だから彼氏の振りをすれば告白は減るだろう。オタクからの告白が特に多いらしいからな。普通のやつは高嶺の花という扱いを受けてるからあんまり告白は多くないらしいし。信用されるかによるかもしれないが。まぁその辺は演技するからからなんとかなるだろう」


うんこのハンバーグ肉汁がでて美味しいな。デミグラスソースもいい感じだ。それからお弁当を食べて、奏の作ったお弁当をあっという間に食べ終わった。














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る