上篠市役所殺人事件

ガエイ

【幕開け】

 真っ白な空間に光り輝く人影が見える。


『もしかして【本格ミステリー】が読めると思ってこの小説をご覧になられましたか?』


『大変申し訳ございませんが【至って平凡な殺人事件】であれば、すぐにご提供できるかもしれません』


 光り輝く人影が手を広げると、十階建ての建物のミニチュアが現れた。


『こちらは、現代の日本の――そうですね上篠市かみしのしという名前にしましょう。その上篠市役所かみしのしやくしょです』


『この日、上篠市役所では殺人事件が発生します』


『しかし、流石に平凡ですので、貴方様にはいささか退屈でしょう』



『………………』



『――なんと、退屈であれば【一味】加えて欲しいと? なるほど、それはそれは面白くなることでしょう……』


『それでは、ご覧ください……』

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