第02話 三者三様の受難

「生牡蠣が唯一の友」

美智留にとって生牡蠣はハイリスクハイリターン・フードだった。

食中りは今日に始まった話じゃない。

だったら、内臓に毒を持つ河豚を一生食べないとか

喉に詰まり易い餅を遠慮した年末年始を過ごすとか

そう言うことにはならないのだろう。

確かに生牡蠣中のノロウイルスは脅威だが

彼女は憑りつかれたように牡蠣の殻を剥く。

牡蠣フライでいいんじゃない? 一理言えてる。

でもまあ、海のミルク・グラノーラ喰うちゃってない?

そりゃあ食べ飽きん、何時も新鮮くさあ。


「追突、衝突、激突……」

最初はバックして来た自家用車に巻き込まれた。バック車難。

次回は思い切り真正面から巻き込まれた。フロント受難。

最後に思い切り開かれたドアとごっつんこ。サイド災難。

三度の車難に遭った寅次郎は全身打撲で現在通院中。

二度あることは三度ある、の典型。

彼の後方、前方不注意が全ての元凶なのか……?


「GOALの前の障壁」

姪っ子のおねだりを聞いたことが間違いの始まりだった。

ミッションは至って簡単。

神社でおみくじを引いて「大吉」が出るまで挑戦。

出た「大吉」を姪っ子にプレゼント。それだけだった。

しかし、一枚目を開いて驚愕した。

(……え? これってまさか……)

まさかの「大凶」一発当選。嗤っちゃう程の逆強運。

その後も呪難は続く。

コンスタントに何枚も出続ける「 凶」

突き落とすかのように存在する「大凶」

「 凶」の枚数は引かれるから伏せるが

「大凶」は4枚持って帰る羽目に。

どうして、持って帰ったか、って?

あなただったら、神社の枝に括って帰るんですか、え?

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