礼蘭とさっちゃん

礼蘭れいらんは、何だって受け入れてくれる。あの子の前でなら、理想の自分で振る舞っても、ステキって褒めてくれるから、一緒にいてすごく安心するの」

 花日はなひ先輩の言葉に、のん子もさっちゃんも、深く同意した。

「わかる、ミーがこの喋りをしてんのは、レイラがカワイイって言ってくれたからなんなー。最初は、レイラの前でしかやんなかったなー」とのん子。

「さちも、すっごう救われた。れいらんと出会ったから、今のさちがある」

 礼蘭は、みんなにとっての救世主のような存在だ。

 花日先輩はさっちゃんに言った。

「さっちゃん。今度は、さっちゃんと礼蘭の話を聞かせて」

「いいよ。んじゃあ、帰り、歩きながら話す」


 さっちゃんは、あの日、礼蘭と一緒に歩いた帰り道を、花日先輩とのん子と辿たどった。

 その道すがら、さっちゃんは二人に、礼蘭との思い出を話した。



 一方、礼蘭とオルカの二人は、路上ライブを行った広場の、近くにあるラーメン屋で、ラーメンを食べていた。

 そこで、オルカは、礼蘭に他の三人との話を尋ねた。


 礼蘭は、のん子と花日先輩との話をした。ただし、さっちゃんとの話になると、席を立ち上がった


「オルカくん、話の続きは、歩きながら話そうよ。行きたい場所があるから」

 オルカは、不思議な顔をしながらも、「いいよ」と言った。

 二人は、ラーメン屋から出てから、話の続きをした。


 さっちゃんとの記憶のお話を。



 れいらんは、とっても優しい。大きな背丈を持ちながら、それよりもずっと大きく広い、海のような心を持っている。


 そんな大きな身体で、ぎゅーっと抱きしめられるのは、すごく心地よくて、好きだった。



 さっちゃんは、小さいながらに、たくましく、勇敢な心を持っていた。それから、家族を想う、優しい心も、同時に持ち合わせている。


 不得意なことにも、懸命にがんばる姿は、抱きしめたくなるくらいに、健気だ。



 礼蘭とオルカがたどり着いたのは、川の辺。さっちゃんと出会った時に、寄った場所。

「れいらーん!」

 ちょうど、その時、さっちゃんたちが、現れた。大好きなその姿に、礼蘭は喜び、駆け寄った。

「さっちゃーん!」

 さっちゃんも礼蘭に駆け寄って、二人はぎゅーっと抱きしめた。

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