えっ、一緒に⁉︎

 生徒会の日、オレは奈留実とまた一緒に帰りたいなと思い奈留実を誘ってみた。

 

 

「奈留実、一緒に帰ろっ」

 

 …

 

 オレが奈留実を誘うと奈留実がオレの少し後ろに視線を向けた。

 

 んっ?

 

 ⁉︎

 奈留実の視線の先を見てみると…

 

 莉央さん…。

 

 

 莉央さんは、オレを見るなり

「えっ、元カノと一緒に帰るとか気まずくない?わたしと帰ろうよ〜。みっちい♡」

 と、オレの腕に手を絡めてきた。

 

 …

 

「あのさ…」

 とオレが言いかけると奈留実がいきなりな提案をしてきた。

 

「ねぇ、それなら三人で帰らない?」

 と。

 

 えっ⁉︎とオレも莉央さんもびっくりだった。

 

 でも…それなら丸く収まるってやつ⁉︎となって、三人で下校することとなった。

 

 

 そしてオレは、学年一の美少女奈留実と学年で二番目に美人と言われている莉央さんの間に挟まれながら下校することとなったのです。

 

 はたからみたら、オレってめっちゃ羨ましいやつなのだろう。

 

 …しかし、当の本人のオレは…とても息苦しいよ?

 

 息を吸ってるつもりがずっと吐き続けてる感じっていうのかな…。

 

 もう気絶しちゃうかもよ?

 

 呼吸法忘れちゃうくらいだよ?

 頭も真っ白でさ…。

 

 なんでオレは今こんな状況なわけ?

 

 この二人に挟まれて…いったいなにをはなしたらいいわけよ?

 

 そもそもオレってどんなポジションでここに挟まれてるわけよ?

 

 …

 

 奈留実は、何を思って三人で帰ろうなんて言い出したのだろうか…?

 

 わからない…奈留実は、いったい何を思っているのだろうか。

 

 …

 

「きょ…今日ってあれだねー。意外と暑いねー。」

 と、当たり障りのない天気の話をぶち込んでみた。

 

 すると莉央さんってばさ、

「え〜、わたしは、寒いよ?ならあっためて♡」

 なんてオレの手をにぎにぎとしてきた。

 

 …

 

「あ、オレ手あんまり綺麗じゃないから触らないほうがいいよ。さっきカメムシ触ったから。」

 と、嘘を思わず言ってしまった。

 

 そしたら、莉央さんが

「えっ⁉︎うそだぁ。てか、そんな嘘ついて…そんなにわたしと手を繋ぎたくないんだ…」

 としょんぼりしたじゃないか。

 

 まぁ、手を離してくれるのはありがたい。

 

「なら、これどうぞ」

 と奈留実が莉央さんに手袋を差し出してきた。

 

 ⁉︎

 

 まだ冬じゃないのに手袋って…

 

「奈留実って、もしかして一年中手袋持ち歩いてるの?」

「うん。手荒れ防止にね。」

「えっ、女子力たかっ」

 莉央さんもびっくりしていた。

 

「あ、でね、手袋にコロン吹きかけておくといい香りがするんだよ」

 と莉央さんに教えていた。

 

 そして莉央さんは、

「あー、それいいかも〜。ハンカチとかにもいいよねー!」

 としょんぼりから一気にテンションが上がった。

 

 奈留実って…すげーな。

 

 敵意剥き出しって感じの相手にも微動だにもせずって感じだ。

 

 

 オレはつくづく奈留実を尊敬するのでありました。

 

 ってか、奈留実…なんか変わったなぁ。

 

 

 続く。

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