どうすればよかった?

 そして気まずい空気の中オレたちは、ボランティアをするのですが…

 

 なんとか蒼梧からは回避されたんだけど、奈留実が元気ない。

 

 オレのせいだよね…。

 うまく彼氏役できてないから…だから奈留実は、ガッカリしているのかもしれない。

 

 

 帰り道、二人きりになると奈留実は…

「莉央さんと両思いじゃん!嬉しい?」

 と、いきなりオレに笑顔を向けてきた。

 

 …奈留実のカラ元気。

 

 奈留実は、いつもそうだ。

 

 カラ元気の時は、笑顔にしてるつもりなんだろうけど、オレにはその顔が泣く寸前の顔と同じだということを知っている。

 

 

「奈留実…大丈夫だよ。」

「えっ?何が?」

「オレは、奈留実の彼氏なんだから。だからどこにもいかないよ?」

 

 オレは、奈留実を安心させたかったからその言葉をかけたんだけど…

 奈留実は…

 

「でも…やっぱりほんとうの彼氏じゃないし、道久だってこれじゃ恋愛自由にすることもできないよね。なんか…なんかわたしの身勝手で振り回すのよくないよね。」

 と俯いてしまった。

 

 …

 

「そんなことないよ。オレ好きな人いないし…それに、奈留実が…奈留実が辛いのはほっとけないから。」

 

「じゃあ、それは…家族愛みたいなこと?」

 

 …家族か。

 

 確かにずっと一緒だったから…なんかほっとけないんだよな。

 

「まぁ、家族っていうか…なんだろうね?でも、奈留実が辛いのは嫌なんだ。」

 

 …

 

 しばらく黙ったあと奈留実は、

「わたしなら平気。だから、もう嘘のカレカノ解消ねっ!じゃあ先行くわ」

 と、またあの笑顔をして走って行ってしまった。

 

 

 …奈留実。

 

 

 オレは、どうしたらいい?

 

 追いかける?

 

 …でも、追いかけてもなんて言葉かけたらいいのかわからなかった。

 

 

 

 そして次の日、莉央さんが休み時間にオレの元にきて、こっそり

「廊下にいい?」

 とオレを呼び出した。

 

 なんだろう…ボランティアの話かなって思ったら、まさかの…

 

「幼馴染ちゃんと別れたんだね。」

 と言われたのだ。

 

「えっ、なんでそれを…」

 と聞くとどうやら奈留実が朝イチ道久とは、別れたからって言ってきたそうなのだ。

 

 

 奈留実…

 

 …

 

 奈留実は、きっとオレたちが両思いだと思っているのだろう。

 

 …でも実際には、オレは浮かれていたけどでも…莉央さんが好きかって言われたら……ノーだ。

 

 莉央さんだって、オレを人として好きって言ってくれたけど…実際ほんとに好きな人の前で、そんなに堂々と好きって宣言するものだろうか…ってかなんか…なんかどうなんだろう…と少し疑問に思うでありました。

 

 

 …

 

 続く。

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る