メンタルつよっ

 イチャイチャカップルをみていたらいきなりわき腹をツンってされた。

 

「オッ…」

 思わず変な声が出てしまった…

 

 だ、だれっ⁉︎

 

 慌てて振り向くとそこには奈留実が立っていた。

 

「なんだよー…奈留実、びっくりすんじゃんかー。」

「だってさ…道久…カップルみてニヤけてるから…キモくてついね。」

「えっ…オレ…ニヤけてた?」

「うん。めっちゃ‼︎」

「マジか…それはヤベーな」

「ね。てか、道久くんはイチャイチャしたいのかな?」

 ツンツン。

 

「だから、さっきからわき腹ツンツンやめてよ。」

 

 まったく。

 変な汗でてきたわ…。

 

 なんて思いながら、変な汗を拭っていたら…

 

「おやおやぁ?朝もそうでしたが、またしてもあなたがたは、イチャイチャしておられるんですねー」

 とニタニタする莉央さん。

 

「いや、別にイチャイチャなんて…」

 とオレが訂正しようとすると奈留実は、

「うん、してたよ。イチャイチャ。」

 と真顔で返していたじゃないかっ‼︎

 

 奈留実ーー⁉︎

 

「あのー…」

 と、オレが言いかけると莉央さんは…奈留実に向かって、

「へー、いいなぁ。いいなぁー。わたしもイチャイチャしたいなー」

 と言いながら歩いて行ってしまった。

 

 ⁉︎

 

 いいなぁって…わたしもイチャイチャしたいっていうのは…その…オレとじゃない…んですよね⁈

 

 …うん。

 オレとイチャイチャしたいんじゃなくて…純粋にだれかとイチャイチャしたいのだろ。

 

 うん。

 そうに決まっているだろう。

 

 それにしても奈留実は、彼女役が上手いな。

 

 平然とイチャイチャしてたとか言っちゃうんだもんなー。

 

 オレは…いまさらだけど、彼氏役を真っ当にこなしていない気がしてきたな…。

 

 

 なんて少し反省していたらいきなり、

「やあ、奈留実ちゃーん♡」

 といきなり奈留実に壁ドンをくらわしてやってきた蒼梧そうごが登場してきた。

 

 

 …げっ、蒼梧じゃん。

 

 蒼梧は、オレと奈留実と小学生の頃から一緒だ。

 

 まぁ、蒼梧は途中から転校してきたのだけれど、何かと奈留実に付き纏っているのだ。

 

「なに?かれぴとケンカ?ひどいかれぴだね。そんなかれぴ別れちゃいなよ。そして、オレの元にウェルカム♡」

 と奈留実にあごクイをしていた。

 

 …で、それを一撃で振り払われる蒼梧。

 

 …コントのお時間でしょうか⁇

 

 そんな、豪快に振り払わなくても…。

 しかも、毎度こんな感じだ。

 

 蒼梧は、ほんとに懲りない男だ。

 

 もう、奈留実に何度もフラれているのに…このメンタル。

 

 ある意味…見習いたいメンタルだ。

 

 

「蒼梧…、奈留実はもうオレの彼女だからあんまりちょっかい出さないでよ」

 と、一応彼氏役をこなした。

 

 すると蒼梧は、

 

「彼氏ねぇー」

 と言いながら意味深な顔をして帰って行った。

 

 なんだよ…

 あの顔は…

 

 

 続く。

 

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