第26話

それからというもの、リトルブルーはモクレンの住む小さなマンションへ通うようになった。教わったのは、彼女に合ったメイクやヘアスタイル。

 実際に最近流行りのブディックに足を運んだ際、以前彼女を蔑んでいた若い女性二人に出会った。

「すいません、私に合った服ってありますか」

細くて派手なメイクをした店員に尋ねる。すると彼女は、数回目を泳がせてもう一人の店員に、目で助けを乞うた。ここには細めのシルエットの服が多い。それに、リトルブルーを陰で嘲っていたから、うまく笑顔が作れない。

「あー、えっとぉ」

店員がもう一人に目で助けを乞うている。あんたのサイズに合う服なんかないわよ、と思っていたのだ。

 しかしリトルブルーは、それから何時間も、服の一品ごとをじっくりと観察し、研究を続けた。流石に店員も、無視できなくなってくる。

「別のお店がいいと思いますよ」

店員は、遠慮気味にそう言った。

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