女子高生の私が父親と体が入れ替わった件

一ノ瀬シュウマイ

私、お父さんになってる!

第1話 私、お父さんになってる!

「咲希はこっち来んなよ」

「…」

「ワハハ」


私を拒絶する声と、周りの嘲る笑い声が聞こえる。

いつもの、光景だ。


私は、飯島咲希。高校2年生。

毎日行きたくもない学校に通い、いじめられ、帰りたくない家へと帰る。

これが私の日常。


高校に入った当時は、容姿が良いという理由でチヤホヤされまんざらでもない高校生活を送っていた。

そして、高校1年生の時の冬とある男子に告白された。

しかし、私はその告白をお断りした。

その次の日から、みんなの態度が一変した。

みんな私を無視したり嫌がらせをするようになった。

その理由は、告白してきた男子が逆恨みで私を無視してきたことから始まった。その男子は、学校の人気者で皆は長い物には巻かれろという精神なのか、同じように無視しないと自分もいじめられるからなのかどうかは知らないが皆が追随して今の現状となった。


この夜は、いつ終わるのだろうか…。

とても暗い。

なぜ、神様は私を選んだのだろうか…。

夜明けはいつなのだろうか…。


しかし、この終わらない夜に一筋の光を灯してくれる存在がいる。

それは同じクラスの梨沙。

梨沙は私がいじめられ始めても唯一仲良くしてくれる人だ。

周りからなんと言われようが、私との関わりを断たないでくれた。


「咲希、帰ろ!」

「うん…」


いつも通り、梨沙は私と一緒に帰ってくれる。

でもなんで私と帰ってくれるのだろう?

謎だった…。

でも私にとってはありがたかった。


「咲希さ、今日は大変だったね」


いつもの土手の帰り道を歩いてる途中梨沙は私に話しかけてくれる。


「うん、なんかもう嫌になっちゃうよ…」


私はそう返す。

その言葉を聞き梨沙は何やら閃いた様子だった。


「よし、ゲームセンターでも行こう!」

「ゲームセンター!?」

「うん!」


梨沙はそう言って笑みを浮かべた。


そして私たちは、ゲームセンターに足を運んだ。

UFOキャッチャーやコインゲームたくさんのゲームがあり私は少し胸が躍った。


私と梨沙は色々なゲームをした。お小遣いの残高を忘れるほど。


この時だけは、時間を忘れられた。

梨沙といる時だけが嫌なことを忘れられる瞬間だった。


「じゃあね咲希」

「うん、また明日」


梨沙と別れ、1人家への道を歩く。

もう、日は暮れあたりは暗くなり住宅街の家の明かりが目立つ。


また、孤独で哀れな自分に戻る。


そして、自宅へと到着する。


「ただいま…」


家に帰ると母が玄関に立っていた。


母はそこそこな年齢だが若作りをし白髪染めがてら派手目な茶髪になんかしてセミロングみたいなヘアーをしている。

正直似合ってるとは言い難い。


「遅かったじゃない咲希!母さん心配したんだから!早くご飯食べるよ」


私はそう母に言われると靴を脱ぎ家に上がり無言で母の後を追ってダイニングに向かう。


ダイニングには、スーツ姿で新聞を読みご飯を食べるのを無言で待っている父がいた。

私がダイニングに入ると父は凝視してきた。

私は、父の視線を無視して黙ってイスに座る。


「じゃあ食べよ」


母がそういうと私と父は無言でご飯を食べ始める。

今日は母の得意料理の肉じゃがだ。


私は小さい頃、肉じゃがの日はすごく喜んで食べていたが今は特別高揚感というものはなかった。


みんな、無言で食べ進める。


食器の音だけが鳴り響く。


食卓に会話などなかった。


ただ生きるために食べるそれだけだった。


母は専業主婦で家の家事をしている。名前は飯島咲月。


父は、そこそこ大きいデザインや設計の会社の社長だ。名前は、飯島直希。


どちらも、昔は結構口うるさい方だったが私がいじめられてからは私が両親を突き放すような態度をしたせいなのか口数が減った。


そう昔は、賑やかな食卓だったが今はお通夜状態だった。

父と母は私がいじめられていることを知っているのだろうか…。

そう考えながら食事をしていると食べ終わり箸を置く。


「ごちそうさま…」


そう言って自分の部屋に戻ろうとすると父に話かけられた。


「咲希、今日も遅かったけど勉強…ちゃんとしてるのか…」

「うるさい、いいからほっといてよ」

「俺はな、お前のことを思って…」

「じゃあ、話しかけないで」


(私の辛さなんて何にもわからないくせに)


そう思い階段を登って自分の部屋と入りベッドへと倒れ込む。

部屋にいるときは、何か守られているような感じがして安心した。


(私、またお父さんに反発して当たっちゃったな…。なんてダメな子なんだろう)


いつも反発しては後悔する。


部屋で少しくつろぎ、お風呂に入るため浴室に向かうとお風呂から上がった母とすれ違った。


「あんな言い方はなかったんじゃない?明日の朝ちゃんと父さんに謝りなよ」

「…」


私は、そのままお風呂に入り、パジャマに着替えベッドへと入った。


(待ちに待った寝れる時間だ)


やっと長い1日が終わった。

そして、目を瞑る。

もうこのまま目覚めなければいいのに…。


〜〜〜


ジリリリ。


世界一嫌な目覚ましの音で地獄の1日がスタートする。

今日も目覚めてしまった…。


起き上がると、少し身長が高くなったように感じた。

そして、体が全体的にだるく、肩が凝っている感じかし顔を触ると何やらジョリジョリしていいた。

(なんだろうこの違和感…)


私は、歯磨きをしようと洗面所へと向かった。

そして、鏡を見ると私が写っておらずそこには父が写っていた。

そう、いつも見ている白髪混じりの黒髪の細い目のあの父だ。

(え、どういうこと?寝ぼけてるのかな?)


そして、股を触ると何やら付いていた。


「えええええ!私、お父さんになってる!!!」


この事がきっかけで私の人生は大きく変わるのだった。

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