本編
回りゆく 寿司と地球と 乾燥機
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学校がお昼までだったので、5人で学校近くの回転寿司に来ました。
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[八葵]「やっと通されたねぇ。」
[悠心]「平日昼間だってのに混んでるよな。」
[絃葉]「お腹ペコペコすぎる!!!クワセロ……ハヤククワセロ……!!!」
[小霧]「あれ?めーちんどしたのー?知り合いでもいたー?」
[命]「あ、うん。あの人、小学校5年の時の担任の……」
[八葵]「お、ほんとじゃん。良い先生だったよね、まだあの小学校にいるんだ。……てかあれ?その向かいにいるの、確か教頭先生だよね?(小声)」
[絃葉]「保健の先生もいるじゃん!(小声)」
[悠心]「昼で終わる行事でもあったんだろうな。小学生っぽい子ら結構いるし。……あれ?親どこだ?小学生しかいなくないか?普通こういう日は家族連れだよな?」
[八葵]「……あ、思い出した。今日創立記念日じゃない?」
[悠心・絃葉・小霧]「それだ。」
[命]「そういえば今朝、
[小霧]「休みならそりゃのんびりにもなるよねー。」
[八葵]「そういやあの小学校、創立記念日は教師陣が強制的に有給休暇を取らされるシステムだったような。」
[悠心]「なんだそれ。というかなんで知ってるんだよ。」
[八葵]「おじいちゃんがあそこの警備員してたことがあってさ。その時に知ったらしいんだけど、なんか創立記念日は一応警備員だけ雇って、教師全員来ないから学校もぬけの殻だったらしいよ。」
[悠心]「変な制度もあるもんだなあ……」
[絃葉]「そんなことよりお寿司!!!お寿司食べよう早く!!!」
[小霧]「声でかー。」
[命]「雨ちー、お寿司は逃げないよ。そんなに焦らなくても──」
[絃葉]「いーや逃げるよ!距離離されすぎないうちに食べないと!陸上部の血が騒ぐな〜!」
[命]「えぇ……?」
[悠心]「空腹で何言ってるか分かんなくなってきたな。」
[八葵]「いち早く食べさせてあげなければ。」
[小霧]「れっつごー。」
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[悠心]「ほい絃葉。”マンゴー風真イカ”。」
[絃葉]「ありがと!いや〜、すごいよねこの切り方!ほんとにマンゴーみたい!」写真パシャー
[命]「綺麗なお寿司だね!」
[八葵]「うーん、こいつぁ確かに映える。」
[小霧]「それで、お味の程はー?」
[絃葉]「いただきまー……グゥオオオオオ……」
[命]「雨ちー、お茶お茶!大丈夫?」
[絃葉]「ゲッホゲホ……お゙酢゙効゙ぎずぎ゙…゙…゙!!!」
[八葵]「1貫貰うね。……ぅわ酸っっっっっぱ!!!何コレ!?……ん?でも食べれない程じゃない。ああでも、別に酸っぱいの苦手じゃない私でコレだし、そりゃ絃葉は食べれないか。酸っぱいのあんま得意じゃないもんね。」
[悠心]「これ何回目だ?見た目だけで食べ物選んで後悔する絃葉。」
[小霧]「1週間ぶり15回目ー。」
[悠心]「もうやめろよ見た目だけで選ぶの。無難なの食っとけよな、コレとか。」
[絃葉]「反省……あ、ありがと悠心。真鯛大好き……」
[小霧]「おぉ、やっさしー。自業じとはに恩情あげるなんてー。」
[八葵]「おアツい。これが愛かあ。」
[悠心]「次同じことしたらもうあげないけどな。」
[絃葉]「自業じとはって何……!?」
[命]「あはは……」
~~~~~~
[小霧]「あ、ゆーみゆーみ。せうゆ取ってー。」
[悠心]「んー。手ぇ滑らせんなよー。」
[小霧]「全くー。何歳だと思ってるのー?わたしそんな手元緩くな……は……は……」
[八葵]「嫌な予感。」
[命]「ただいま。秋ちゃん、お水お待ちどうさま。」
[悠心]「ん、サンキュ命。絃葉もおかえり。」
[絃葉]「ただいまー。やっちゃんもお水でよかっ──」
[小霧]「ぶぇあっくしょい!!!」皿ガタン醤油ビシャー
[絃葉]「ギャー!!!」
[八葵]「あっぶな、私ギリセーフ。」
[命]「あわわわわわ……」
[悠心]「おい、ちゃんと押さえろよな。飛沫飛ばしたら汚いだろ。」
[小霧]「ごめんごめん。いやー、最近花粉症酷くてさー。」
[絃葉]「さ、ぎ、り?」
[小霧]「んぇ?……ヒュッ」
[絃葉]「クリーニング代。300円でいいよ。」
[小霧]「いやーははは、今月ちょっとお財布厳しくってー……」
[絃葉]「300円も払えない?お寿司食べにきてるのに?ならローンでいいよ?」
[小霧]「あっ、えっとそのー……」
[絃葉]「ん?なに?」
[小霧]「……ゴメンナサイ。」
[八葵]「あちゃー。またさぎが絃葉怒らせた。」
[悠心]「一昨日も見なかったかこれ?」
[八葵]「一昨日より酷いとみたね。」
[絃葉・小霧]「…………。」
[命]「ま、まあまあ雨ちー!……あ、そうだ!私店員さんに洗剤借りてくるね!シミになる前に取っちゃえば大丈夫だよきっと!」
[悠心]「醤油って洗剤だっけか?」
[八葵]「うん、確か食器用洗剤で取れたはず。で、確か先に醤油の水分取っといた方がいいから……絃葉、一旦ソレ脱ごっか。」
[絃葉]「……ん?え、え!?えっと、脱がさないままじゃ無理かな!?わたし今日下に体操着着てないんだけど……」
[八葵]「あらら。まあ今日体育も部活もなかったしそりゃ仕方ないか。ちなみに私も着てないから貸せないな。」
[小霧]「わたしも着てないデス……」
[八葵]「語尾変わっちゃった。」
[悠心]「あ、私着てるな。今朝肌寒かったから。」
[八葵]「マ?貸してあげなよ。」
[悠心]「いや……サイズがなあ。絃葉サイズなんだっけ?」
[絃葉]「えっと、現物ないけど間違いなくL。」
[悠心]「聞くまでもなかったわ。私はS。これをおまえが着るとなると……」
[八葵]「パッツパツの絃葉、パツ葉。」
[小霧]「ぐふっ……」
[絃葉]「何笑ってるの?こうなってるのは一体誰のせいかな?」
[小霧]「失礼しましたー……」
[八葵]「まあ一旦着てみれば?取りやすくするために脱ぐだけだし、ずっとパツ葉でいる必要はないからさ。」
[絃葉]「パツ葉言うな。うーん……まあ。じゃあ悠心、ちょっと貸してもらってもいいかな。」
[悠心]「ん。トイレ行くか。」
[八葵]「行ってら〜。」
~~~~~~
[命]「ただいま!洗剤と、あとブラシとタオルも貸してくれたよ!」
[悠心・パツ葉・小霧・八葵]「おかえりー。」
[パツ葉]「ありがとメイちゃん!なんか嫌味とか言われなかった?」
[命]「うん、大丈夫!なんならすっごい心配してくれたし……ってあれ雨ちー、体操着今日持ってきてたっけ?」
[八葵]「(体操着の名前部分を指さす)」
[命]「あっ、秋ちゃんの!」
[八葵]「パッツパツの絃葉、パツ葉。」
[パツ葉]「パツ葉です。」
[悠心]「自分で言ってるじゃねーか。」
[パツ葉]「思ってたよりパッツパツだったから……」
[命]「あはは……」
[悠心]「ほら見ろ。命反応に困ってるだろうが。」
[命]「……大丈夫!似合ってるよ雨ちー!」
[悠心]「気まで遣わせやがって。」
[八葵]「どれもこれもさぎが悪いね。」
[パツ葉]「小霧が体操着持ってきてればもうちょっとマシだったのにね。」
[小霧]「それはわたし関係なくないー!?」
~~~~~~
[八葵]「よし。大体取れたかな。」
[絃葉]「大体っていうか……」
[悠心]「全部取れたな。」
[命]「すごい……真っ白に元通り。」
[小霧]「ふー。これでわたしもお咎めなしかー。いやー、一件落着って感じー。」
[絃葉]「……まあ、許してあげる。なんかこの反省してるように見えない態度は釈然としないけど。」
[命]「やっちゃんってほんと器用だよね。練習とかしたの?」
[八葵]「んや、一発勝負。前テレビでやってたやつの受け売り?猿真似?だよ。」
[悠心]「すごいよな。おまえの本番に強いとこ、誇っていいところだと思うぞ。」
[八葵]「え!悠心まで褒めてくれるの珍し!いやー、誇っちゃおうかなどうしよっかな〜?ただでさえ完璧美少女な八葵ちゃんが”本番に強い”なんてスキルまで手に入れちゃったら””無敵””になっちゃうんだけどな〜!?」
[悠心]「こういうところがなければな。」
[絃葉]「ね。まあ綺麗にしてくれた手前文句言えないけどさ。」
[八葵]「ディスりを感知。醤油垂らしリターンズを開始します。」
[絃葉]「いやストップストップストップ!0に戻そうとしないで!?」
[八葵]「冗談冗談。さ、長居しすぎたし、店員さんにお礼言って帰ろっか。特に小霧は丁寧にね。」
[小霧]「はーい。」
[絃葉]「次からくしゃみするの禁止だからね。」
[小霧]「殺生な。生理現象なのにー。」
[八葵]「押さえれば済む話では???」
[命]「あはは……」
[悠心]「絃葉は体操着持ち歩けよな。」
[絃葉]「ん!?なんで!?」
[悠心]「またこんなことになったら……ちょっと恥ずかしいから。まあ、おまえがいいならそれでいいけど。」
[八葵]「まあ”彼シャツ”みたいなもんだしねぇ。いや、”カノ体操着”か。」
[絃葉]「えっ?」
[小霧]「ヒューヒュー。カノ体カノ体ー。」
[絃葉]「…………あっ!!!」
~~~~~~
[八葵]「いいの絃葉?それまだ結構湿ってるよ?」
[絃葉]「いいの!外気で乾かすから!」
[悠心]「なんだよ絃葉。恥ずかしかったのか?純情だな。」
[絃葉]「先に恥ずかしがったの悠心だよ!?」
[小霧]「あ、自販機だー。雨ちー、なんか奢ろっかー?罪滅ぼしも兼ねてー。」
[八葵]「▼さぎ は つみほろぼし を おぼえた!」
[命]「あははははは……」
[絃葉]「まあ、罪の意識が少しでもあるならよかったかな。何奢ってくれるの?」
[小霧]「天然水でいいー?安いし。」
[絃葉]「んー、これで。」ボタンポチー
[小霧]「あ゙ー!高っかいエナドリー!」
[絃葉]「”罪滅ぼし”だもんね〜?これくらい許されてもいいんじゃないかな〜!!!」
[悠心]「やっぱおまえまだ怒ってるだろ。」
[八葵]「まあ日頃の行いだよね。絃葉、体感2分に1回は小霧に雷落としてるし。」
[悠心]「変だな。誇張のはずなのに誇張に聞こえない。」
[命]「そういえば今朝も喧嘩してなかった?」
[悠心]「してたな。なんでだっけ?」
[八葵]「些細なことすぎて憶えてない。日常茶飯事すぎるもんで。」
[絃葉]「あ、この後小霧ん
[小霧]「んぇ?なんでー?」
[絃葉]「乾燥機あるの、この中だと小霧ん
[悠心]「やっぱ外気じゃ乾かないか。」
[絃葉]「思ったより湿ってて。」
[小霧]「うへー、一着だけのために回したらお母さんに怒られそー。」
[絃葉]「それが罪の重さ。罪には罰が伴うことをゆめゆめ忘れないようにね。」
[小霧]「うへー……もうお寿司はこりごりだー!」
[悠心]「お寿司さんは関係なくないか?」
[八葵]「さぎ一人の責任です。罪を押し付けられたお寿司さんも泣いてるよ。」
[絃葉]「責任転嫁ダメ絶対!お寿司さんが可哀想でしょ!」
[小霧]「ぐわー!味方がいないー!」
[命]「あはは……」
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