第7話 ハーレム

他の家庭では反抗期があるらしいが、ラパスはその様子がなかった。


淡々と自分の生活をし、勉強し、遊んでいる。


何気なく将来の夢を聞いた。


「学校の先生になりたい。」


と言ったときは、ホッとした。

立場的には先生より魔王の方が上だ。

そのまま育ってくれ。




さて、愛といえばやはり異性だ。


魔王は、隊長と先生を呼び出した。



「ラパスに彼女を作ろう。」


「ちょっと早くないですか?まだ10歳ですよ?」


先生が言う。



「一般と比べている場合じゃありません。あと6年で結果を出さなくては。彼女がいれば、ラパスも魔族に愛着がわくでしょう。」


魔王がそう言うと、隊長が賛成した。


「背に腹は変えられません。ラパスを中心にハーレムを作りましょう。」




こうしてクラス替えが行われ、ラパスのクラスの男子はラパスだけになった。


だが、一向に彼女ができる気配はない。




毎日、学校からすぐ帰ってきては、魔王に勉強を聞いてきたり、問答をふっかけてきた。


「ラパス、最近友達と遊んでないんじゃないか?」


「クラスが変わって、女の子ばっかりになったんです。もう誰が誰だかわかんないし、セクハラにならないように気をつけてると疲れるんです。」



誰だ、セクハラなんて言葉を教えた奴は。

そんなこと気にしてたら、彼女なんてできないだろう。

ってか、もう全員と付き合ってもいいんだぞ。


と、思ったが、ラパスにはまだ意味がわからなさそうだ。




「私は、魔王様と話してるのが楽しいので…。まだ教えてもらってないこともたくさんありますし…。」


もう学びなんていいんだよ。

愛と平和は学ぶもんじゃない、感じるものだ。


彼女作戦はあえなく失敗した。





「一つ、聞いていいですか?」


「なんだ?」


「なぜ私は魔王様に育てられているのですか?」


ついに来た、その質問。



「お前の両親は、戦争で亡くなってしまった。その責任は俺にある。だからお前を引き取ったんだ。俺はもう戦争を辞めたいと思っている。お前を育てながら、人間に歩み寄りをみせたいのだよ。」


嘘設定だが、これで俺の戦意喪失については伝わったはずだ。



「…責任で私を育てたんですか?」


「うん?まあ、そうかな。」


「そうですか…。」


ラパスは急に元気を無くしたようにみえた。

なんだ、何か俺、変なこと言ったかな?


ラパスは黙って勉強を始めた。

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