煌芒のライズ

退学者

プロローグ:ブルディア

「ーーーおい、ここはもうだめだ!早く逃げるぞ。」

「だめだ、こいつを置いていけない!」

遠くから喧騒が聞こえる。いや、どうやら私の耳が遠くなっていたようだ。見てみると距離が近かった。

自分の体を見てみる、なぜか右目が見えなかったので左目だけで。見てみると足がなかった、それと左腕も。そこから絶え間なく赤くドロっとしたものが流れてきている。何故かよく見ているもののはずなのに今だけは初めて見たかのような感覚だった。

誰かが近づいてくる。

「待ってろ□□□・・・よし、これで動けるだろう。」

グチャ

私のない両足と左腕、右目から変な音が聞こえる。何かを入れられたようだ。

男が私の両肩を掴んできた。

・・・なに?

「いいか□□□、お前だけが頼りだ。」

なにを言ってるの?意味が分からない。

「だから、その時が来るまでこれをお前に預ける。」

首に何かをかけられた。

「時が来たらこれを壊せ。」

・・・

「そうしたら、俺らがお前になにを託したか分かる。それとこれもお前と置いていく、これも使うだろうからな。」

ドガッ、ガラガラ

後ろから大きな音が聞こえた。

「・・・どうやらもう時間がないな。」

男が立ち上がり、音のした方に顔を向ける。

「・・・すまなかったな。」

・・・?

「こんな大事なことを、君のような子に託してしまったことを。」

男はそう言い見えなくなっていってしまった。

なん、だか、さむ、い、な。

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