De Brevitate Vitae

Coppélia

第1話、最良の日は真っ先に逃げていく

・・・・・・・・。


無言というか本当に魔が差した、としか言いようがない。なんでこうも毎回条件が揃うのか。


本来なら通常の業務で時間的に行けないはずであり、行きたいとも思っていなかった。置き物確定だった。正直にゴミ箱までは入れていた。


春の初め頃。


気持ちが揺れ動いていた時間に買った関東平野の端っこにある風水屋さんが毎年出している風水系の占い本。


それによると、今年の七赤金星のよい行動は「音楽鑑賞」なんだそうだ。全く当たっていない。


その行動の結果は「ケチがついた」。占いとかはやはり信じられない。碌な目に合わなかった。


いや、さ。それにしても他にいるだろ。

せめて、若者に人気ななんか流行りの音楽とか、全体的に人気な何かとかあるだろ。国外でもいいんだし。


何故こうなるのか。


最近は別のものを探しに古本屋に行って、見つけたのが、過去に「音楽家」がファンクラブ向けに作ったCDとかだったりとか・・・。いい加減にしろと神様に言いたい。


過去の雑誌を探しに行って、わざわざ本棚に挟まっていたのか。きちんと並べて置いて欲しい。見つけた瞬間のなんとも言えない気持ちは、大変、形容し難い。


大体、俺の愛読書は「考察あるいは教訓的格言・箴言」である。いみじくも翻訳者が記載したように「神に愛されし者には意味がない」。


よって「神」がきちんと愛した、愛している「音楽家」様に、俺は興味がない。次元が違いすぎて、理解できない。理解する気もない。


それにしても、風水本に当たっても仕方ない。怖すぎる。いやしかし。何故、今日魔が差したのか。


本当に置き物にするつもりだったんだ。今日の朝は本当に行く気はなかった。だから、普通に仕事に行った。


なのに、何故か今、俺は電車に乗っている。

使い切った「チケット」を持って。

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