十一浴目『懐古』

あなたに会うまで

私には備わって居なかった

感情の渦


あなたの言葉は

肌に、その下の肉に沈み込み

血とめぐって

私の心の臓に達していたのかな


私にあなたは要りません

あなたに私は要りません


それなのに

いつまでも私は

繋がったままの糸を切る

ハサミを探すふりをしている


私から溢れ出る

すべてを舐めとって欲しい


甘い言葉を囁きながら

私を痛めつけて

気を失ってしまう程に

あなたを身体に植えつけて欲しい


そうすれば

私はあなたの幻影を

時々身体に覚えながら

この先を生きていける


くるしい、くるおしい


欲して居ないあなたに

身体が疼く

私はこの世で一番

あなたが憎い。



     Fin.





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