九浴目『羊の目』

あなたが丁寧に

舐め上げていく様子を

ただ魅入っている


優しく力のこもった

指先の圧が

わたしの肌をしっかりと掴む


身動きが

取れないわけでは無いのに


まばたきもできず

時折こちらを垣間見る

あなたから目が離せない


身体中から溢れ出すような

感情を抑圧させていると


次第に

我慢ができなくなって

私の目は

何かを誘うように憂いを帯びる。



     Fin.





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