第8話「死へ逃げ」

ただ生きて行ければ

どれほど幸せだったろうか

望みなどない

最低限でいい

ただ普通に朝日を迎え

会社へ行き

夜には酒を飲む

それだけでいい


だけど

私の現実はそうは行かなかった

それは残酷なほどに

社会に飼われ

ただ、雑事と重圧に囲われた


そして身を削りながら

ただの一回の幸福もないまま

汚名を被り生きた


全ては自身の責任だと

自己管理できない

お前が悪いのだと

そう横暴に殴られ


真っ赤に滲み出た血液が

痛むから

忘れる事が出来ずに

部屋でさえ泣いていた


この世界が一体

なんの目的で動いているか

それさえ分からないのに

生きる事が正しいのかと

そう生きる恐怖を感じて


もうとう死ぬならば

なぜ戦うのかと

そう疑問符がついて回り


いつしか死を身近に感じていた


生きる事は簡単ではない

そういっても

この悪意ある私の周りは

どうすればいいかなんて

答えもないまま


ただ流す言葉なんか

信用できない

もういいよ

いいよ


私は私を信じて

この痛みの先にある

死へと

逃げ込むよ


それくらい

許して

許してよ・・・。

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