第4話 いざ中層

中層の景色は上層と何ら変わりなかった。変わったといえば出現するモンスターくらい。スライムに打って変わり今回はスケルトンやレッサーウルフなどがメインだ。見た感じまだモンスターは出てきてなかったので俺は注意して探そうと思い足を進めた。


数分歩くと少し開けた場所に出た。


「これは何か出そうな予感。」


俺はそう呟くと案の定、モンスターが数体出てきた。


――カランッ


俺は音で何の敵かを察知した。


「スケルトンか…」


スケルトンは名前の通り骨だけで構成されたモンスター。スケスケで何の装備も来ていないので防御力は低い。稀に知能を持っている奴がおり、武器などを装備したものもいるが今回は何も持っていない。中層の中でも比較的弱い部類の敵だ。


だが油断するとやられる危険があるのでヤクモは細心の注意を払って戦闘態勢に入った。


「キシャァァァ!」


先に攻撃を仕掛けたのはスケルトンだったが奴は何も持っていなかったためやたらむやみに攻撃をしてきた。


俺はそれを見て冷静に判断し、奴の足を狙って足払いを繰り出した。


「おらよっと」


するとスケルトンはバランスを崩し転倒した。


今がチャンスだ。


そう思った俺は奴に向かってかかと落としを決めてやった。


「グワァァァァァ!」


そしてスケルトンはお亡くなりになった。


「ふぅ、一体だけならまだ余裕だな。」


そう思った俺はさらに奥に進んでいった。


――――――――――――――――――――――――


歩いてきて数十分がたった時、ダンジョンの奥のほうで物音がした。


「なんだ?」


多分モンスターだろうと思い、ゆっくりと忍び足で進んでいった。


するとプニプニとした緑色の、少し大きいやつがいた。


「ヒールスライムか…」


――ヒールスライムとは上層にいる通常スライムが『回復ヒール』のスキルを持った姿だ。ヒールスライムは攻撃を受けたらスキルを使って自身を回復させることができる少しばかり厄介な敵だ。


運よくまだ奴には見つかっていなかったので後ろからこっそりと近づいてヤクモは短剣を素早く振り上げた。


――ズバッ


「プッ」


ヒールスライムは断末魔を上げる間もなくお亡くなりになった。


ちなみにヒールスライムは倒した後、奴の粘液を使って回復薬を作ることができるので元ヒールスライムだったものを瓶に入れておいた。


「今日は体を慣らすために来ただけだから、いったん帰るか。」


そして帰ろうとした瞬間だった。






「逃げろぉぉぉおぉ!イレギュラーだぁぁぁぁ!」






ダンジョンの奥のほうから男性の叫び声が聞こえた。


「――っ⁉ イレギュラーだと⁈」


俺はその声を聞いて焦った。



――イレギュラーとはその名の如く、本来その階層には現れない強力なモンスターが下のほうの層から溢れ出てくることである。大抵の場合は下層から敵は溢れ出る。


だが大抵の場合だ。それ以外もある。


なので俺はは逃げてきた男性に声をかけることにした。


「敵はどこから溢れ出たんですか?」


その男は息を切らしながらこう言った。


「ハァハァ……か、下層の…ボス部屋…からだ」


「――っ⁉ ボス部屋だと⁉」


最悪な事態が起こってしまった。下層のボスモンスターなんて俺には倒せない。倒せるとしたらAランク以上の人たちだけだ。そのくらいヤバい。


俺は逃げようとしたが遅かったようだ。


ダンジョンの奥のほうから尋常じゃないほどの殺気を感じた。





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