「運が良かった」…メガティブだね。

「あ、起きたっ」


逆光で良く見えないが、誰かが私を覗き込むようにして囲んでいるようだ。

眠たくて細めてある瞳から見える影は3つ。

髪の長い一人、何かを背負っている一人、好青年らしき影の一人。

瞼を完全に開くと、予想は当たり、3人が私を観察していた。

髪の長い人は目をキラキラさせていて、何かを背負っていた人は……クールそうな人で、斧背負っている……。もう一人は、茶髪で物腰柔らかそうな、同世代の少年。

なんだろう。もしかして、斧で切られちゃうのかも。

そう思って、矛盾に気が付いた。

とても、温かい。冬なのに。

どうやら質の良い毛布に包まれているようだった。

体を起こすと、問いかけた。


「……あの、ここって……?」

「初めまして。あたし、オリーブ・リアン」

「……はい」

「声ちっちぇ。病気?」

パシンッ

「僕はアイル・ネオ。ごめんね。オリーブはこういうやつだから」

「いってぇー」


頭を押さえるオリーブさんの元凶である、茶髪の青年は、私を見てニコッと笑った。


「……大丈夫ですか……?さっき、パシンって……」

「大丈夫だよ。頑丈だから」

「大丈夫じゃないし‼」


オリーブさんは猫のような顔をしていて、シャーと威嚇するように吠えた。

ちなみに、頭からアニメでしか見ないげんこつが見えている。


「……うるさい」


和気あいあいとした空気を沈ませたのは、透き通るような美少年の声である。

その人はギラッとこちらの方を睨むと、そのまま部屋を出ていった。

バタンッ

とドアの閉まる音。


「またごめんね。あいつはリオル・グレイ。人づきあいが苦手なだけで、悪い奴じゃないんだよ」


ヘラヘラと笑って答えた。

それにしても、と思う。

私なんかにそんな個人情報を教えて、どうしようというのだろうか。

何の得にもならないだろうに。


「それで?あんたの名前は?」

「ダリア・イレント……です。それで、私は何故此処に……?」

「僕ら、ある罪に問われる集団を捕まえて。それで街を探索していたら、たまたま君を見つけた。それで、いったんオリーブのベッドに……っていう感じ」

「そうなんですか……ありがとうございます」

「で?どう思ってるの?」

「……どうって……」

「なんであたしたちがダリアを見つけることができたか」


何故だか鼻が高そうなダリアさんが聞いてくる。


「運が、よかったから、ですかね……?」

「―――メガティブだね」


そしてアイルさんに苦笑される。


「あたし魔力探知したからだし‼」

「な、なるほど」


魔力探知とは、こっちにこのくらいの魔力がある、と分かる便利な魔法で、かなり集中力と魔力を使う。彼女は魔法使いなのだろうと思う。


「それで、一つ提案があるんだ」

「?」

「僕たちのパーティに入らないか、っていうこと」

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