第2話 私と妹と従姉弟《いとこ》


 私が小学生の頃、夏休みは決まって祖父母の家へ一週間ほどお泊りをしていた。


 父の実家は山の中だ。


 小さな商店まで出るのに車で30分かかる。スーパーなら1時間。

 それほどの山の中だ。

 何もない。けれど、それほど山の中になると覚悟が決まるもので、猫を追いかけて遊んだり、裏山に入りカブトムシやクワガタを獲りやキイチゴを食べたりして遊んでいた。




 一方、母の実家はもう少し街だった。


 歩ける距離に駅があり、車で20分もすれば新幹線の駅もある。

 とはいえ、近所のスーパーまで車で10分。

 近い公園まで1キロ程度と子供の足で行くには少し遠かった。 

 



 その出来事は、母の実家でお泊りをしているときに起きた。


 祖父母の住む家で過ごし3日目にもなると、もう家の中でかくれんぼをしてもすぐに見つかってしまい、私も妹も飽き飽きしていた。

 地方のローカルテレビ局は、アニメ番組も少ない。

 何もすることが無くなった私と妹と従姉弟いとこたちは、公園まで行くことにした。


 母方の従妹は歳の近い子が多かった。


 それでも、妹以外はみんな年上で頼りになる。


 一番上は中二のしっかりもののミコト姉ちゃん。

 次は中一のお調子者のヒロヤ兄ちゃん。

 次は小六のスポーツ万能のケンジ兄ちゃん。

 そして、小四のお転婆な私、らん。

 小二の生意気な妹のリンちゃん。


 その日のメンバーは、この5人。


 今思えば、中二のお姉ちゃんに私や妹の面倒は、かなりの負担だったと思うが保護者達は、みんなミコトお姉ちゃんの言うことなら聞くので大丈夫だと判断して、送り出してくれた。


 ただ、その日大きな誤算があった。


 私たちは、出発してから2カ所ある公園のどちらへ行くか再検討し、急きょ行き先を変更したのだ。

 保護者達には、北にある林公園に行くと告げたのに、実際には西にある土管公園に向かった。


 林公園は、取り立てて遊具のない空き地のような場所で私や妹にはあまり面白みがない公園だったからだ。

 土管公園は、土管を模した大きなトンネル型の遊具やブランコ、鎖をつないだタワーのような高いジャングルジムがあった。


 私と妹が幼かったために、年長者たちは遊具がある公園がいいだろうと気を使ってくれたのだ。


 そして、それが思いもよらない事態を引き起こしてしまう……。

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