第9話 駄女神様を取るか、悪役令嬢を取るか

 失意のトリ様様が闇落ちしたのはなんと異世界だった。すっかり心が荒みきったトリ様様は、昼夜を問わず狩りをして、食べることで憂さ晴らしをする日々に。


 やがて、農民から苦情が相次ぐことになる。なぜなら、最初こそミミズや昆虫を食べていたトリ様様が、今では立派な猛禽類として、うさぎや鶏小屋を荒らし放題だった。


 そこで、トリ様様の処置をどうするべきか選ぶべく、駄女神と悪役令嬢が駆り出されたのである。


 確かにトリ様様はこう見えても美女が好き。


 けれど、勝手に番にされてしまうのは嫌だと駄々をこねる駄女神。スタイル抜群でツン対応。どこかでは需要がありそうだが、トリ様様のお眼鏡にはかなわなかった。


 それに対抗して、ここぞとばかりにトリ様様に無理やりアタックしてくる悪役令嬢。彼女の周りには常に取り巻きがいたり、意地悪な策を講じる従者なんかもたくさんいて、トリ様様には残念ながら、無理だと答えた。


 なぜってトリ様様は追いかけたい派だからだ。ああ、こんなことなら駄女神にしておくのだったと後悔してももう遅い。


 プリッとまんまるなお目々でなんとか農民の気を和らげようとしたものの、農民を敵に回した罪は重く、その場でファイヤーされてしまったのだった。


 ファイヤーされたものの、トリ様様にはまだ需要があるもんね。

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