侵略者

牧太 十里

一 星が落ちてきた

「お星さんが落っこちてきたよ」

 チャッピイがそう言った。

「星は落っこちないよ。隕石なら凄いスピードで飛んで来るよ・・・。

 うわっ!あれは飛行機じゃない!逃げろっ!こっちに飛んで来るぞっ!

 タマ!みんなを連れて、逃げろっ!」

 俺は女房に叫んだ。タマは子どもたちを戸外へ避難させ、農場の樹木の陰に隠れて夜空を飛んできた物体を監視した。


「あれは小型飛行艇だ!」

 飛んできたのは円盤型小型宇宙艦だ。樹木の陰から見るとトウモロコシ畑に着陸した小型宇宙艦から何かが降りてきた。

「あれ見て!宇宙服着てる!」とチャッピイ

「何をする気だ?」とチビトラ

「家の物を持って行っちゃうよ!」とシマトラ

「気づかれないように、静かにしなさい!」

 タマが皆を黙らせた。


 宇宙服の者たちは家のあらゆる食料品や家畜や収穫した作物を宇宙艦に積み、探知機で何か探してる。あれは恒温動物を調べる熱探知機だ。生き物を探してるんだ!

「俺たちを探してるんだ!皆、静かに祖父ちゃんの家へ行け!」

「わかった」

 家族は音を立てぬよう農場の樹木沿いに走り、隣町にある祖父ちゃんの家へ向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る