照準を合わせて、闇に身を委ね、纏う獣で未来を切り開く。

※以下は#3のレビューです。
 ぺキカセットから離れ、名もなき勢力の一人となったケトはふらりと指定時刻に現れる。身軽であれど、逆にそのフットワークを生かしきれないのでは、木偶の坊に等しく。ケトが言うように、動かぬまますべてが終われば、それは一番良いのでしょうが。それではただのサンドバッグに成り下がりましょう。……木偶の坊とサンドバッグのどちらが上かは、一旦脇に置いておきながら。
 ふきっさらしの会社の中、コンクリート打ちっぱなしの斬新な、ある意味ハイセンスなその建物に潜む「敵」。それまで受動的な姿勢を貫いていたペキカセット。目的……そこへ向ける「目」も射る「的」も見定めず、ただただ惰性……というよりは機械的に動くことは、ともすれば冒頭の木偶の坊や、サンドバッグにも等しいのかもしれません。
 求めない・望まないという姿勢は、リスクやリターンを無視して一方的に求めたり、あれもこれもと望んだりしないだけマシと言えるかどうか。
 対峙した敵は、ペルプ達と死闘を繰り広げたあの、ドクトル。ケトの存在を忘れているということが、吉と出るか、凶と出るか。結果、凶に傾いたようですね。これは別に、戦況が悪い方に傾いた、というわけではなくケケト自身が闇の力を増幅させたことになぞらえてのものです。しかし、事態は本当に凶へと傾いて。
 今まさに闇に飲み込まんとする、闇医者。しかし、事態はさらにそこから傾いて。本当の闇の中へ落ちていく、闇医者。純粋な力としての「闇」が人工的なものならマナとして捉える「闇」は自然的。どちらが、上か。そんな中ケトはどんどんと下の方へと落ちていくわけですが、等しく「闇」と言うならば、ドクトルも岩に押しつぶされ、「闇」の中へ。
 戦闘後の後始末は、夢のように。とはいかず。寝て起きたら、元通りなんて魔法があったら良いのにと思わずにはいられませんでした。
 しかし、今回の戦闘でそれ以上の収穫が得られたのなら、ここらで手打ちとしておくのが花というものでしょう。戦闘後の現場は見なかったことにして、それこそ花でもそっと添えておきましょう。
 話を戻しまして。今回の収穫といえば、自分の手を闇に染めることが可能だということ。手を闇に染める という動きが今後どういった形で作用してくるのかは、闇のように先が見えないわけですが、続きを楽しみにしながら。そして、4人の幸せのために戦うケトを陰ながら(闇ながら?)応援していこうと思います。まぁ……自己犠牲、とまでいってしまうのは、心が病みますよ。とだけ、一言心の声を漏らしておきます。