第8話  姉の陰謀





「いや僕たち付き合ってないよね? それに僕彼女いるし」


よかった。気のせいだった


「この軽いのが私の彼氏」姉がそう言って、イケメンの腕を取った。


「どうもー押しに弱い次期生徒会長菊池です。ちなみに現生徒会長は僕の姉です」


「人間関係密すぎない?」


「風花さんの弟?」


「しょうがないわよ。だってなり手が全くいなかったんだから」


「だから姉命令で立候補させました」そう言って風花さんは可愛らしく微笑んだ

言ってることは鬼畜ですよね。風花さん。



その後、僕らはお腹が空いたと騒ぐ姉の為ファミレスへと移動した。



「航大と華ちゃんが校門で待ち合わせをしていた日ね、偶然にも私と広登も待ち合わせをしていたの。あ、広登っていうのはこいつの名前ね」


「授業が済んで校門に向かっていたら、風花から連絡がきたの。怪我していま保健室にいるからって」  風花先輩そんなに痛かったのか。


「私は待ち合わせ時間に遅れると彼に連絡して、保健室に向かった」


**


「いやー転んじゃった」


ベットの上で照れ笑いする親友に私は脱力した。


「でも痛くて泣きそうだったところを、1年生の男の子に助けられたの」


「あんた可愛いからね」


すぐ虫が寄ってくる。


「違うの!その子あたしになんの興味もなさそうだったの。あと名前が小笠原って言ってたから」


「ああ、それうちの弟よ」  新一年に小笠原性は1人しかいない。


「あたしもそう思ったの」


私の弟だから短期間に距離を詰められたのかな。


「彼とってもいい子よね」


「当然。あたしが姉だもの」


「でも義理でしょう」


「じゃあ、従姉弟だし」


「それあんあまり違わないよ」  言ってて自分でもそう思った。


その後、待ち合わせの彼から連絡が来た。


何でも男女間のトラブルに巻き込まれたって。

私はまた来るから待ててね、そう言い残して学校側にあるハンバーガーチェーン店へむかった。



「・・・一体何やってるのよ」


私が学校付近のコンビニに来た時、彼は見知らぬ女性と二人、ポテトをかじっていた。


「いや小腹がすいちゃって」


私がその女子生徒を睨むと彼女はビクッとした。


「ちょっと怖がってるよ」  怖がらせてるのよ

でもなんだろう。この子どこかで見た気がする。最近何処かで


「あのすみませんでした!」


その子は立ち上がると私達にお辞儀をする。


「私のせいで二人が別れたりしたら・・」


そう言ってポロポロ泣き出した。


「これが浮気するわけないでしょ。信じてるもの。だって恋人なんだから」


「そうそう、僕たちは信じあっているよね」


ノーテンキなその顔見てると一度くらい不安にさせたくなるけど、それはまた今度にしとこう。



「はあ?彼氏が他の女と仲良くしていたらしいと連絡が来たので怒って帰ってしまった・・・まあそれはどうでもいいんだけど」


なんでこいつを自分の彼氏のように見せたかってとこだ。


「何だか悔しくて。自分だけがこんなに好きなのに不公平って」


「だよねー不公平だよね」


「あんたは口を挟まないで」


「はーい」


聞けば聞く程、しょうもない話だった。

喧嘩する程の事でもない。彼に直接確かめたら終わっていた話だ。


でもまあ、気持ちはわかる

人を好きになるって理屈じゃない

好きなんだけど嫌い。

自分の大切な気持が軽く扱われたって感じ、嫌いになってしまう。


「じゃあホントにその子と別れてもいいのね?」


「それは絶対嫌です!」


「ならしばらくはそっとしておいて。彼とんでもなく落ち込んでいるから」


「彼って、誰か知ってるんですか」


「知ってるも何も、私の弟よ」


「そして彼がお姫様抱っこして保健室に運んで相手は僕の姉。菊池風花」


「え、じゃあ私」


「そうね。盛大な自爆したってことね」


「彼氏の親切な行動を浮気と断定し、確かめもしなかった。自分だけが傷ついたって顔して人の彼氏に色目使って」


ちょっと言い過ぎたかな

彼女は最初会ったときよりも小さく感じた。


「と、とりあえずさ、ポテトが冷めないうちに食べよう!」


「・・・そうね。お腹も空いてきたし」


「私どうしたら良かったんでしょう」


この時私に悪魔が囁いた。


男性が苦手な親友でもうちの弟なら大丈夫だった。

小さい時から何故か彼は女性に対してとても親切だった。


「わたしの親友と付き合わせるのはどう」


「それは!」


「最後まで聞きなさい」


これは劇薬だ

「弟が本当に彼女のことが忘れられないなら、いずれこの関係は破綻する。

傷心で別れた時にあなたが慰めるの。これでイチコロね」


「そんなうまくいくかな」


あなたは黙ってポテトでも食べていなさい。


「もしあなたがこんなの嫌だ、自分で修復するっていうのなら、そっちのほうが良いわよ。


「今はまだ会う勇気がないです」


「じゃあ決まりね」


「うちの彼女が鬼畜すぎる」


「傷心の弟に彼女をまだ合わせたくはない。

その彼女もまだ会う勇気がない。

私は彼を取られそうで頭にきている」


「最後のが本音だね」

なんとでも言って


ただ一つだけ心配が会った


「あなたのお姉さん、初恋とかまだみたいだし割り切れるかな」


「本気で好きになったら別れないかもね」


もしそうなったら私は二人に恨まれて刺されそう。

「その時は助けてよね」


「えーやだな」


こいつは


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