猊下の配慮と私の立場 九日目 (十一の日)
親愛なる我が従弟殿。
今日は一段と雪が深くなったね。君の目に映る王都の景色はどのような様子だろうか。
そういえば、私は冬のラウウォルフィアも知らないのだった。
さて、ラングワート出身と分かったオーリチの話だ。
まずはなぜ猊下が彼を私の世話役に選ばれたのか、という問いに対する答についてだけれど、敢えて純粋な国王派と
私自身は、あの件について父上側に付いたわけではなかった(それがなぜかという話は、ここに書くのは不適切だと思うので控えるよ)。
ただ、機に乗じて国王派と称する一軍が私の領内にまで侵入してきたので、それを追い払うために兵を率いて対峙せざるを得なかった。
先に亡くなっていた母上が、未だ成人まで間のあるはずの私の甲冑を作らせていたというのがなんだか恐ろしかったね。ご自分が亡き後、こうなるかもしれないと予測していたということだろうから。
その出兵を内乱への加担と見るか正当防衛と見るかは、陛下のご判断にお任せするしかなかったけれど、最終的に陛下は私の行動を後者と認められたのだろうね。父上の全ての所領について、ひとつも召し上げられることなく継承をお許しになったのだから。
そういうことで、私自身が陛下に背く意志がなかったことを理解してくださっている猊下は、これ以上世間で私を父上と結びつけた憶測が飛び交わないよう、父上に同情的な勢力ではなく、むしろその真逆であるラングワート家から従者を選ばれたということだそうだ。
――ここまでは「ラングワート家のオーリチ」という視点からの話だ。
次は彼個人についての話をするよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます