うたかたの夢幻

鷹槻れん

 夢を見る。


 自分以外の存在を、一切感じ取れなくなってしまう夢。


 周囲は痛いくらい森閑とした闇に沈んでいて、自らの指先さえ視認出来ない。


 声を出そうにも、開くべき口が失われていることに気付く。


 このまま誰にも気付いてもらえず、一人消えてしまうんだろうか。


 そう思った途端、恐怖で身動きが取れなくなった。


 視界が絶たれたこの常闇とこやみの中、声が出せない自分は、どうやって周りと繋がればいいのだろう?


 こんな状態で死んでしまったら、寂しいだろうな。


 己の行く末に待ち構える未来を知っているから、夜毎こんな夢に悩まされるのだろうか?

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