12月21日(木) 明莉
いつもの店に着いたら
「こないだあげちゃったからさ、知らないひとに」
「なにそれ」
「それがさあ」
明莉は駅のベンチで寝ていた見知らぬ男にひざかけを掛けてあげたことを説明した。
「わたしいいひとになるんだ。困ってるひと見つけたら助けてあげんの」
そう言って明莉は、いつものちょいコワモテのお兄さんが持ってきた唐揚げを摘まみあげた。
「わたしも助けてもらっちゃったし」
とこないだ酔っぱらったときの事件を語りだす。
「そうやって世のなか
照れかくしみたいに明莉はわらった。碧はびっくりしたような目で見つめた。
「あの明莉が……ちょっと感動」
「わたし変わるんだ。和人のことも吹っ切ったし」
「じゃ乾杯」
がちゃんと碧はグラスをぶつけた。こんなときおしゃれな店なら澄んだいい音したんだろうけど大衆居酒屋だとこんなもんだ。ふたりともそんなのぜんぜん気にしないけど。
「うん。いまの明莉になら、紹介してあげてもいいかなあ……わたしイチ押しのいい男」
碧はたったのサワー三杯で酔ったみたいにうるんだ瞳を明莉に向けた。
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