第16話:金髪男。

俺とスズは池田 翔子いけだ しょうこのママ友に話を聞くために各家を

訪ねた。

他の家に聞き込みに言っていたスズから、連絡があって耳寄りな情報を持ってる

人がいるから、すぐに来てって・・・。


そのママ友の話によると以前、池田 翔子から愚痴を聞かされたらしい。

旦那が仕事仕事で自分の相手をしくれないって、だから出会い系で男と遊んでる

んだって・・・。


お〜耳寄りな情報・・・。

で、その遊んでた男が問題・・・いったいどこの誰なのか?

それが分からないと、事件は前に進まない。


で、俺はタカさんに連絡して今、池田 翔子の旦那の依頼で事件を調べてる

ことを言っておいてママ友から聞いた話をタカさんに伝えた。


そしたら警察でも池田 翔子と不倫してたって男を探してるってことだった。


池田 翔子が殺された本町通りの店のあたりの防犯カメラを調べたらしいが

たしかに被害者池田 翔子の姿は写っていたらしいが、それらしい男の姿は

写ってなかったって話だった。


しかも本町通りは人の出入りが激しく、その中から怪しい人物を特定するのは

難しいらしい。


誰か池田 翔子とそいつが一緒にいるところを見かけたやつはいないのか?


おそらく池田 翔子を刺し殺したのは十中八九、出会い系で付き合ってたって男。

こういう場合はたいがい別れ話のもつれと相場が決まってる。


だが結局、男の正体はつかめず・・・この事件は迷宮入りするかと思った。


その間も、スズはママ友の家を辛抱強く聞き込みに回っていた。

するとママ友にひとりが池田 翔子が旦那じゃない男と歩いてるところを見たって

人が現れた。


そこで俺は、出会い系サイトに登録してる、いかにも遊び人ふうな男の

何人かの顔をスズにプリントアウトしてもらって、そのママ友に診てもらい

に行った。


「すいませんが、この中に池田 翔子さんと一緒に歩いてたって男性が

いませんかね?」


「どうなのかな・・・遠くてはっきりしないけどその人髪が金髪だったわね 」

「それだけははっきり覚えてるわね・・・」


ママ友は一枚づつ写真を見ていて手が止まった。


「あ、この人・・・金髪の人・・・たぶん間違いないと思うわ」


ビンゴ・・・。


もしママ友の見間違いだったとしても、貴重な情報だ。

俺はママ友にお礼を言って、スズにも礼を言って、早速男の探索をはじめた。


この情報と顔写真をタカさんにも送っておいた。


出会い系に登録してる名前はおそらく偽名・・・ほんとの名前なんか登録する

バカはいないだろうから・・・。


数日してからタカさんから連絡が入って、金髪の男の正体が分かったって・・・

どうやら前科持ちらしい。

それで警察の前科者リストの中に該当者がいたみたいだ。


そいつの名前は「三田村 鷹彦みたむら たかひこ

タカさんからの情報によると三田村は普段「弥生」ってスナックに出入りしてる

ってことらしい。

そのスナックのママが三田村の奥さん。


根っからの遊び人、ねっからのヤリマンらしい、いわゆるヒモだな。

だから池田 翔子以外にも女が何人もいたみたいだ。


名前が分かったことから、すぐに三田村は警察に任意でしょっぴかれた。


そういう訳で今回の事件は三田村が犯人で収束すると思われた。


でも凶器も見つかってないし、三田村が池田翔子を殺したと言う明確な

証拠も見つかってはいない・・・なにより三田村にはアリバイがあった。

池田 翔子が殺されたであろう時間帯に三田村は奥さんと店にいたらしい。


まあ奥さんの証言だから口裏を合わせてるかもしれないので、そのアリバイ

はあてにならなかったが、その時間に店に来ていた常連客の証言があったことから

白だろうと言うことになったらしい。


だから、三田村逮捕にはいたらなかった。


それに物的証拠がなければ、状況証拠だけではただの仮説に過ぎない。

たとえ逮捕しても検察までは持っていけなかっただろう。


犯人かもしれないって分かっていて逮捕できないってのはいただけない。

だがどこをどう探っても証拠は出てこない。

他の線を当たるしかない・・・また振り出しか。


行き詰まった時は事件から一旦離れる・・・それが俺の考え。

そう、すると物事が違う方向に展開していく場合だってあるしな。


果報は寝て待て・・・寝てるだけじゃ果報はやっては来ないのが常だけど。


つづく。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る