第9話:パートナーでしょ私たち。

俺とスズは雑貨屋のばあちゃんちのいなくなった猫を探していて公園で、

男の刺殺体を発見した。

誰がどうみてもれっきとした殺人事件。


普段、屁みたいな仕事しかしてない俺は、この事件に関わらないことに

しようと思ったんだが、そうもいかなくなった。


と言うのも仏さんに胸に刺さっていた凶器のナイフに付着していた指紋の

主がスズのおやじと同姓同名だった。


で、タカさんから送られてきた写真を見てスズははっきりと、写真の

男が自分の父親だと認めた。


大変なことに首をつこんだなって俺は思った。


スズにしては思わぬ出来事でショックだっただろう。

自分の父親が殺人に関わってるかもしれないんだから。

父親が白か黒か、真相を早く知りたいだろう。


でも、これは危険な匂いがぷんぷんする。

スズを巻き込んじゃいけないと俺は思った。


「なに、言ってるの?」

「私に、この事件から外れろって言うの?、お父さんが関わってるかも

しれないって言うのに? 」


「危険だからさ、おまえにもしものことがあったら、その・・・大変だろ? 」


「足手まといなるって言いたいんでしょ・・・そうだよね」


「まあ、早い話が・・・」


「私、足手まといになんかならないから・・・」

「なにもしないで、じっとしてるなんてイヤだよ」

「ね〜ヨーちゃん、お願い、私も一緒に連れって・・・」


「連れてってくれないと、あそこのスクーターボコボコにしちゃうよ 」


「おい、オリーブを人質に取ろうってか?」


「オリーブ?」


「あのスクーターはランブレッタって言って超レアなスクーターなんだよ

で、愛称がオリーブ・・・俺の日常の相棒 」

「おまえより先に相棒になってるんだからな・・・」

「あいつがないと俺はどこにもいけないんだから、壊すなよ」

「だからさ、そんな聞き分けのないなこと言ってないで大人の言うこと聞けよ 」


「やだ・・・ずえ〜ったいやだ・・・ヨーちゃんに付いてく」


「困ったやつだな・・・」


「だって、パートナーでしょ、私たち」


「あれ?パートナーって恋人同士のことを言うんじゃなかったっけ?」


「いいの、そんなこと・・・」

「とにかくパートナーってなにがあっても絶対離れないんだよ」


「へ〜そうなのか?、そんな話、聞いたことないけどな」


「ねえ、お願い、私をひとりにしないで」


「またそれか?・・・なんだよその訴えるような目は・・・」


「分かった・・・分かったよ、ひとりにはしないよ」

「自分ひとりでも行くって言われるとそれも困るしな・・・」

「しかたがない・・・一緒に動くか・・・まじでおまえには負けるよ、スズ」


俺がそう言うとスズは、俺のほっぺたにキスした。


「ありがとう、ヨーちゃん、大好きだよ」


「大好きだよって・・・」

「その気もないくせに、そういうドキッとするようなこと言うな」


未成年とは言えスズも女、キスなんかされたの久しぶりだったから、

俺は焦った・・・でもズズだってもう17歳、それって許容範囲のうちだろ・・・

って、俺はなに考えてんだ・・・。


つづく。


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