第8話 謎に謎が。

「結構前の卒業生です。この、アタックしてる人」


 スポーツ記事のスクショを見せられる。日付は十年前くらい前の。

 え、F女、バレーボールで決勝進出したことあるんだ。今、廃部寸前で大変なのに。

 なにこの写真、すごい跳躍力なんだけど! ネットを軽々飛び越えられそうだ。


「バレーボールでこんなに跳ぶ必要ある?」

「なんですか、素直に感心してくださいよ。その記事、扱いが大きいんですけど残念ながらF女はこのあと敗退しました。

 幸田先輩は、それでも期待の選手であったのは間違いなくて、普通にそのまま高等部に進んだらしいんですけど、お家の都合で転校することになって」

「それでいらなくなった制服を異世界に捨てたの?」

「そのへんはわかりませんけど、先輩は転校先の高校でご活躍されて、全国大会で優勝したそうですよ」


 で、F女はその後こんにちまできて廃部寸前と。

 なんだか残念な話聞いちゃったよ。


「うっかりこんな秘密を抱えてしまって私たち、こんなふうに頭をフル回転させていろいろ調べる羽目になったんですよー。自習時間とスマホ禁止の時間をごまかしごまかし。お風呂も何度も行きそびれたかなー」

「〈荒れた〉って、そういうことなんです」


 寮内の騒動を避けるために、ノートを隠すことにした二人の二〇一号室。


「波乱を抱えてしまったのね」


 北さんと滝川さんがうなずいた。

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