戯言集

EPOCALC

皆さんがこれから直面する一連の文章―いや文章と呼ぶには程度が低いので、文字の羅列とでも言った方が適切かもしれない─を私が記したのは生活においてちょっと気がかりなことがあったためである。しかし、その気がかりなこととは具体的に何だと言われても、私にもよく分からない。

日々の生活は、些細なことで満ちている。朝のコーヒーを淹れるときの湯気、散歩中に偶然出会う人との挨拶、そして夕暮れの静かな時間。しかし、その中には我々を不安にさせる「何か」が潜んでいる。その「何か」が具体的に何なのか、私にははっきりとはわからない。胸の奥にひっそりとした不穏な感覚であり、意識の端にぼんやりと浮かび上がるようなものなのである。

この文章は、その「何か」を詳らかにするために、その輪郭線を描く試みである。この実験はもしかしたら成功するかもしれないが、それより遥かに失敗する可能性の方が大きい。

しかし、「何か」の正体を知ろうとし、もがき苦しむことは決して無意味にはならない。読者諸兄においても、私が「何か」に辿り着こうとした道程を追うことで、少しでも発見があることを願っている。