完全武装少女誕生

「は~い、皆さんおはよございま~す」

魅架は教壇に名簿を置き

「何か聞きたいことはありませんか?」

魅架は皆を見ながら聞いた

可楽先生のこの質問は朝のホームルーム恒例の事で

服の事を聞いてねと言っている

アリーは手をあげた

「はい、カルファさん」

アリーは優雅に立ち

「可楽先生はどうしてその服をお選びになったのですか?」

魅架は笑顔で教壇の前に立ち、クルリと周り

「いい質問ですね♪この服は〈黒薔薇の姫〉というテーマで至るところに黒薔薇が刺繍されているのよ」

よく見ると薔薇がいくつも刺繍がされていた

「パッと見ではわからないのに刺繍をされてる、細やかさが良いのですよ」

そう言うと魅架は教壇に戻り

「それでは出欠をとります、阿我八さん」

出欠をとり始めた

キーンコーンカーンコーン

「それでは残りは宿題としますので、やって来てくださいね、昨日の宿題を提出してください」

魅架は宿題のプリントを集め始めた

「それじゃあ、次は体育なので遅れないように~」

魅架はプリントと名簿を持って、教室を出た

「次は、体育だ~」

「嬉しそうだね、遊ちゃん」

「だって体が動かされるんだよ♪瑠亜は嬉しくないの?」

「私は運動が苦手だから」

「そっか」

「ほら、二人共移動しますわよ」

アリーと夢は体操着を持ちながら待っていた

「ちょっと待って」

遊達は体操着を持って、夢達と一緒に更衣室へと向かった

―体育館―

キーンコーンカーンコーン

「はーい、それじゃあ準備体操から始め」

この女性は大貫おおぬき 來夏らいか

黒髪で後ろでひとつ縛りにしている綺麗な女性

「はい、今日はドッチボールをするので出席番号の奇数、偶数で分かれてください」

キーンコーンカーンコーン

「はい、今日はここまで」

ドッチボールは遊と楽の一騎打ちで決着が付かず、引き分けで終わり

來夏は生徒からボールを受け取り、倉庫に直しに行った

キーンコーンカーンコーン

―放課後―

「はい、それでは皆さん気をつけて帰ってくださいね」

夢は帰る準備をしながら

「じゃあ、帰ろうか」

「ごめん!!今日部活があるんだ」

「そっか、瑠亜は?」

「ごめんなさい、保健委員の会議があるの」

「わかった、アリーは?」

「私もこのあと用事があるので、一緒に帰れませんわ」

「そっか、じゃあ一人で帰るね、また明日ね」

夢は遊達に手を振って、教室を後に

廊下を歩いていると

「夢」

声をかけられたので振り向くと

「なに?楽」

「いや、一人で帰ってるのが珍しくて声をかけただけだけど」

「そう、じゃあ私行くから、部活頑張ってね」

「おうっ」

楽はニカッと笑い

部活へと向かった

夢は電車乗り場へと歩き出した

「一番乗り場よりメインステーション行が発車します」

夢は電車に乗り、椅子に座り

(帰ったらまず宿題をして、その後に晩御飯の用意をしなくちゃ、冷蔵庫に何残ってたけ?)

夢が考え事をしている内に

「メインステーションに到着です、忘れ物のないようにお気をつけください」

電車を降り、お伽夢商店街を抜け、学園を出てしばらく歩いていると

「あれは?」

道の真ん中にピンク色の何かが落ちていた

夢が近付いて拾い上げて見てみると

「イソンギンチャクのぬいぐるみ?なんでこんなところに?それにこのぬいぐるみ」

ぬいぐるみが眩しく光り

「眩しい」

夢は咄嗟に目を瞑り

光が収まったので目を開くと

「ここは?住宅街にいたはずじゃ」

夢は周りを見渡すと家がひとつも建っていない荒野となっており

空は紫色をしていた

「なんで?」

夢が前を見ると50メートル先に巨大なピンクのイソンギンチャクが触手をうねうねさせながらが居た

「あれはさっきのぬいぐるみ?」

「そうだぜ」

何処からか男の声が聞こえてきた

「誰?何処にいるの?」

夢は周りを見渡すが誰もいない

「何処を見てるんだ、下だよ下」

声にしたがい下を見ると服の中が赤く光っていた

「光ってる?」

光の原因を確かめようと胸元を引っ張り、見てみると石が光っていた

夢はネックレスを引っ張り出し

「やっと気づいたか」

石から声がした

「あなたは?」

「俺はアトラスだ、お前の名前は?」

「あっ私の名前は神楽坂 夢」

「夢か、よろしくな」

「よろしくです」

「さて、夢は今がどういう状況か分かるか?」

「わからないです」

「よし、それなら説明してやろう」

「お願いします」

「おう、まずここはあそこにいるイソギンチャクが作り出した空間だ」

「はい」

「ここから出るには、あのイソギンチャクを倒すしかない」

夢はイソギンチャクを一度見てから

「無理です」

「そりゃお前だけじゃ無理だ、だから俺がいるんだ」

「アトラスが?」

「そうだ、俺を握りしめ〈武装〉と叫ぶんだ」

「えっ」

「ここから出たいんだろ?ならやれ」

「わかった」

夢は右手でアトラスを握りしめ

と叫ぶとアトラスが赤く光輝き、夢を包んだ

光が消えると

夢は

銀髪の長髪で後ろはみつあみになっていて

瞳は赤色になっており、メイド服を着ていた


アトラスはブローチに変わっていた

完全武装少女かんぜんぶそうしょうじょジャンヌ、お相手させていただきます」

スカートの両端をつまみ上げ、軽く頭を下げた

ジャンヌは自分の姿を見て

「アトラス、聞きたいことがあるんですが?」

「なんだ?何でも聞いてくれ」

「なんで、メイド服なんですか?」

「そっちかよ!!」

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