第3話 家庭教師
「ベス、貴方、もう海にも出られるんですって?」
「はい、お母さま、マリリンに教えて頂きました!」
「そう、それで、どうだったの外海は? 水中環境に支障は無かったの?」
「はい、もうびっくりでした。水の中ですか? はい、なんともありません!」
「そう、よかったわ! ベス、やりましたね!」
「はい!」
って、お母さまから少しお話をしていただけた・・・
もともと我々の祖先は、陸で暮らしていたのだけれど、地上の醜い争いに巻き込まれそうになって、竜人だけでまとまって逃げ出して海辺までたどり着いた。
必死に、みんなで海神様に安全のお願いをして海辺で暮らしていたそうだ。
あるときに、王家の王子だった者が、竜人族の代表として、沖に飛び出していた岩の上から海にその身を捧げて我々竜人の安全のお願いをした。
今でもその岩は地上の世界の海に出ているそうで、人々の間では、「竜人岩」と呼ばれている。
しばらくは、王子の死を悲しんで途方にくれた祖先たちの元へ、海竜が現れた。
(何も、犠牲にする必要もないものを・・・まあ、王子の気持ちは受け取った。
一つ、選択を示そう・・・)
と、竜人の祖先たちをまとめて、海底に異空間を作って移動させることはできる、と。
そこに集まっていた竜人の祖先たちが100%全員それを受け入れたのでは無かったが、ほぼ、95%の者たちがそれを受け入れた。
そして、それは一瞬のことであった。
海竜の提案を受け入れた者たち以外は、その場からどこかへ転送されて消えた。
残った者たちと、そのあたり一帯の土地や自然を切り取るように異空間へ収納されて、そのまま海底に固定された。これが、我がマリアナ王国の始まりとなる。
5%の弾かれた者たちは、その後、何もなくなった元の場所に戻されたようだが、その後のことは分からない。どうやら、その者たちからはすべての記憶が消えていたようなのだ。今でもまだ、その子孫が残っているのかもしれないが、それらの者は、もちろん海竜様の加護を持たない普通の竜人あるいは、人間と縁を結んだ半竜人となっているかもしれない。我々、海竜の加護を持つ竜人とは似て非なる者という。
まあ、私も真剣にお母さまの話を聞いていたよ。
実は、既に、王国の歴史書に書かれていたことなので、頭には入っていたけど・・・
「お母さま、ありがとうございます。ベスは、竜人のベスとして、ちゃんと生きて行きます!」
「ふふふ、良いわよ、自由にしてれば・・・ただし、海竜様や海神様への感謝を忘れては駄目よ!」
「はい、もちろんです!」
「ところで、ベス? あなたはもう、勉強のほうも十分なようね?」
「はい! でも、・・・もっと、魔法を勉強したいです!」
「そうね、それが貴方の希望なら、まあ、王様とも相談してみましょう・・・」
「はい、お願いします!」
早い! その3日後には、一人のおじ様を紹介された。
私の家庭教師なんだって! ふふふ・・・何か、うれしい!
なんでも、お父様が夢を見たらしくて、それに従って、海竜様の神殿にお願いを伝えたら、このおじ様が現れたんだって・・・
名前は、ギランさん。
*家庭教師 ギラン 60歳
庭に出て、ギランさんの魔法を少しだけ披露して頂けたよ。
雷魔法、光魔法、時空魔法、重力魔法・・・・
もう~ びっくり、物語の中に出てくるような不思議なものばかり・・・
「あの~、ギラン先生? エリザベスです、どうかベスって呼んでください、よろしくお願いします」
「ははは、なかなか前向きな、お姫様ですな・・・」
「先生、違います、ベスです、ベスでお願いします」
「分かりました、ベス! 私の知ってることを全部、教えてさし上げましょう!厳しいですよ? ついてこれますかな?」
「はい! 先生、私は・・・頑張ります!」
「よろしい、では、明日からですな・・・
王様? ということになりましたが、よろしいでしょうか?」
「ギラン殿、すまん、このような娘だが、よろしく頼む。それと、後で、宰相にギラン殿の部屋まで案内させよう。まあ、それまでくつろがれると良い」
「はい、恐れ入ります・・・」
*
家庭教師のギランさん、住み込みとなったよ。
それで、毎日、朝9:00から、場所は私の部屋の居間。
私の部屋ってば、広いの・・・寝室と、居間と、控えの間にトイレとシャワーがあるの。
これって、やっぱ、王女だから? だから、マリリンはいつも控えの間で好きなことをやってる?
居間からはお庭にもすぐに出れるようにドアーが付いているから、魔法の練習で、室内では危険?な時は、庭や王宮の裏山に出てやるの。
なんというか、もう基本魔法に関しては、私は合格なんだそう・・・
なので、ギラン先生しか使えない、先生の得意な魔法を中心に教えて貰っている。これらは、本にも書かれていなかったから、初心に戻って、勉強できるよ。
私が気に入ったものは、光や雷、時間空間魔法に重力魔法、あと闇魔法。
覚えたものは・・・
光魔法:フラッシュ、光刃、光弾、光射、光槍・・・
雷魔法:落雷、感電。
時空魔法に関しては、人によってスキルとして現れるものだっていわれた。
それで、先生の鑑定では、どうやら、私には、既に瞬歩と瞬間移動がスキルとして現れているという。
スキル:瞬歩、瞬間移動
そうそう、私の能力とかレベルって・・・確か隠してあったと思ったのに・・・先生には、全部バレバレ・・・
「ははは、レベルの高い者が見れば、一目瞭然!」だって・・・
まあ、お父様やお母さまにも内緒にしてくれるっていうから・・・先生を信じる!
重力魔法の、重圧、加重、減重。
それに、これは極秘だぞ!?って教えてくれたのは、
闇魔法の、催眠、記憶読み、記憶操作、闇炎、闇刃・・・
なんでも、闇魔法は、かなりのレベルがないと使えないものらしいんだけど・・・私? できちゃった!
あとは、先生が私専用にって、小さな鞄をくれた。魔法鞄だって!
*魔法鞄 ベス専用(容量無限・時間停止)
・海竜の加護
・海竜の革製(脱皮したものを使っているんだって・・・ピンク色で可愛い!)
・不壊、清浄、
・絶対防御(物理攻撃や魔法攻撃を無効にしてくれる)
これは、詳細については「秘密」って言われた。ただの「小物鞄」としなさい!って。
先生に教えてもらった、私の秘密は・・・いろいろ。
その中でも、私は、どうやらレベルと魔力の数値があがっているらしい。
これではますます、まわりからの目がうるさくなるだろうからと、先生が、隠蔽、改竄をして公開情報を書き換えてくれたらしい。
このくらいなら、まあ、普段の、生活ぶりや、勉強、などを考慮しても、納得してもらえるだろう・・・ということだよ。
まあ、私自身では分からないから、先生を信じてる!
▶ベス 転生者 竜人 3歳
・竜人マリアナ王国 第二王女:エリザベス・マリアナ
*基本能力
・レベル 200 ー>公開50 ➡ 350->70 ⇧
・魔力 200 ー>公開50 ➡ 400->70 ⇧
*海神の加護※
・幸運
・不運反射: 不運を覆すもの。
・レベルアップ上昇補正: 訓練したものを身に付ける為に。
・言語理解: すべての言語を理解できる
・超回復 : たとえ負傷しても自己回復できる
*海竜の加護※⇧
・水中生活適応:耐圧、耐寒、呼吸、視力、水中遊泳、水転移
・海流操作
*スキル
待機スキル:(鑑定、収納、回復)※ <=薄い文字で見難い・・・
取得スキル: 超記憶⇧、瞬歩⇧、瞬間移動⇧
*魔法 (家庭教師ギランより)⇧
光魔法: フラッシュ、光刃、光弾、光射、光槍・・・
雷魔法: 落雷、感電。
重力魔法:重圧、加重、減重。
闇魔法: 催眠、記憶読み、記憶操作、闇炎、闇刃・・・
*魔法鞄 ベス専用 ギラン作成 ⇧
(容量無限・時間停止)
・海竜の加護
・海竜の革製(脱皮したものを使っているんだって・・・ピンク色で可愛い!)
・不壊、清浄、
・絶対防御(物理攻撃や魔法攻撃を無効にしてくれる)
「先生! この待機スキルってのは?」
「ああ、それな・・・ベスが最初から持っているスキルなんだけど、まだ有効化されていない。恐らく6歳の<海神詣で>の時に何かあるかもしれん・・・」
へぇ~そんなのがあるんだ・・・そういえば、<海神詣で>って? 聞いたことあるよ? あれ? なんだっけ・・・・
*
このギランさん、凄いよ! 剣術も出来る。
先日も、近衛隊長さんと模擬戦してたのを見てたけど、先生は攻撃魔法を使わず、剣術でダグラスさんと渡り合っていた。
でも、あれ、私の見る限りでは・・・かなり手加減してやっていた。
近衛隊長さんをギャフン!って言わせても良い事ないしね・・・
ますます尊敬しちゃう!
「よし、ベス! 今度は剣術も僕が鍛えてやろう!」 って、なんで?ソウなるの~~
「でも・・・私は、剣を与えられていませんので・・・」 と、辞退しようとしたんだけど、先に言われてしまった。
「ははは、剣か? そんなものその辺の棒切れで構わない。敵対するものに、自分は剣を忘れたから、また今度にしてくれませんか? って言えるか!?」
はい、・・・そうですよね、 わかりました。
「はい、先生、よろしくお願いします」
とは言ったものの、私ってば、まだ3歳、もうすぐ4歳だけど・・・・そういうこと、関係ないんだね。
結局、本当に棒切れ!で、剣術の訓練が始まって、でも、私なんか、いくら棒切れでも、そんなに力があるわけじゃぁないし、お手手に豆はできるし、痛いのを我慢してやっていたら、はい・・・お豆さんがつぶれていました。
「ははは、ちょっとこっちへ来い!」
先生に近づいていって、両手を開いて出す。
どうです?先生、嘘じゃないでしょ? お豆さんもグシュグシュで痛いんだから・・・
「ははは、ベスなら、自分で勝手に治せるはずだから別に良いんだが、まあ、ここは僕が!」って、私のグシュグシュのちっちゃな可愛い手に、先生のしわくちゃの手を当てて魔法を使ってくれてる・・・
あれ? 痛くなくなってきた・・・温かいものが伝わってくるよ?
「先生、これは?」
「ああ、簡単な回復魔法だよ? ベスも持ってるけどまだ有効になってなかったな・・・」
そうなんだ~
それで、手を離してくれたから、自分の手を見てみました。
あれ? お豆も、傷も・・・ありません!
か弱い幼女の手をぐちゃぐちゃにして~って腹もたっていたのに・・・
自分のちっちゃな可愛い手に感激してしまったわ!
「先生? ありがとうございます、もう痛くも痒くもありません」
「そうだろ? じゃあ、続けようか?」
キエェエエ~ まだすんの? 今日はこのくらいにして、魔法をやりましょうよ?
はい、聞き入れてもらえませんでした!
また、お豆がつぶれたみじめなお手手です!
「よし、剣術はこんなもんで良いだろう、あとは自分で励めよ!? こっちへ来て手を出せ!」
はいはい、素直に、手を広げて・・・・回復して貰いました。
自分で励めって言われてもね・・・まあ、やらないよね? って考えていたら、
「それ、これをベスに与えよう!」
って、先生、用意が良すぎです!
*ベスの片手剣(ギラン作成)
・オリハルコン製、ベス専用魔剣 60cm
・自重軽減、不壊、清浄、
・攻撃防御、吸収(魔力化して吸収)
・斬撃
・光刃、光射
「良いものだろ? 使えば使うほどに味が出る・・・鞄にでも入れておけ!」
「はい、ありがとうございます!」
まあ、時々、素振りでもしてみましょ! 持ってみたら・・・めちゃ軽いし!
でも、素振りの場所もよく考えなければ、だって、光の斬撃が飛んでいくよ?
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