第6話 【探索者登録・3】


「まず確認だけど、俺ってどういう扱いなの?」


「……蓮はダンジョンとかが出来る前に消えたから捜査して貰ってたから、行方不明者って扱いになってるな」


「まあ、やっぱりそうなってるよね。あのまま行ってたら、手続きで何時間もクロ姉達を待たせる事になってたね。それに俺って小学生の時に居なくなったから、最終学歴はどうなるんだろ……」


 小学校すら真面に卒業してないとなると、幼卒になるだろうな。


「本来はそうなるかも知れないが、ここ数年の世界の異変により行方不明者も数多くいてその中には学生も沢山居たんだ。その結果、もし戻って来た人達がいた場合必要な手続きをすれば年相応の卒業者として扱って貰えるようになったからその辺は心配しなくても大丈夫だぞ」


「そんな事まで決まってたの? というか、やっぱり行方不明者って増えたんだ」


「ダンジョンに憧れを抱く人達が沢山居て、探索者登録もせずにダンジョンに向かったって事件が今も起きてるのよね」


 クロ姉の言葉を聞き、無茶な事をする人も居るんだなとそう感じた。

 その後、一先ず中学卒業証明を取りに行く事は決まり、高校に行くかどうかの話し合いになった。


「そう言えば、ミズ姉達も年齢的には学生だよね? 学校ってどうしてるの?」


「一応、通ってはいるわよ。ただ私達が通ってる学校ってちょっと特殊なのよね」


 そう言ったミズ姉は、今通ってる高校について教えてくれた。

 ミズ姉とアカ姉が通ってる高校は、四年前に作られた探索者を育成する高校で学生探索者が多く通ってる高校。

 本来の学生としての授業は勿論の事、優秀な探索者に育ってもらう為に武術の訓練だったり、魔法の訓練等もするような高校らしい。


「そこの高校の良い所としては、探索者として活躍してランクが上がると色々と免除してもらえるのよね」


「私達、探索者としてはそこそこ優秀な方だから授業もかなり免除してもらってるから好きな時に学校に通えたりしてるのよ」


「へ~、それは良さそうだね。ちなみにそこって卒業すると高校を卒業した扱いにはなるの?」


「勿論。それにそこの高校、まだ出来て数年だけど卒業するだけでもそこそこ大きな会社に入れるから、今かなり人気の高校よ」


 ミズ姉達の話を聞いた俺は、そこの高校なら探索者として活動しつつ学生として青春も謳歌出来そうだなと感じた。


「でも今って六月だけど、こんな時期に入学とか出来るのかな?」


「蓮君の場合、高校が用意してる特別試験に合格できると思うから入学自体は出来ると思うわよ。ただ他の生徒と入学時期が違う事になるから、ちょつと浮く事になるかもしれないけど」


「う~ん……だとしても年齢が同じの方がいいし、入学できるなら今年中に入れた方がいいかな」


 そうして、取り合えず高校はミズ姉達の通ってる所に行く事に決め。

 まず、今日中にしないといけない手続きをしに役所に行く事に居た。

 五年振りに戻って来た行方不明者として役所に来た俺は、本人かどうかの確認だったり、身体に異常がないかの検査をされた。

 案の定、検査は長引き九時に役所に来たが出て来たのは昼の二時だった。


「……探索者の登録行く前にご飯食べたい」


 無事手続きを終えた俺は、登録の前にご飯が食べたいと母さん達に言って一緒に近くのファミレスに向かい遅めの昼食をとる事にした。

 一応、この後の事も考えて腹八分目で止めておいたが父さん達から「そんなに食べて大丈夫か?」と心配された。


「蓮君、昔はそんなに大食いじゃなかったと思うけど異世界で沢山食べれるようになったの?」


「うん。美味しい料理はあんまりなかったけど、量は沢山あって沢山食べた方が体を強くするって鍛えてくれた師匠達が言ってたから沢山食べてたんだよね」


 師匠、そう口にした俺はふと脳裏に師匠達の顔が浮かんだ。

 元気にしてるかな、師匠達……。


「着いたわ。ここが探索者協会よ」


「おお~、建物大きいね」


 到着した探索者協会はかなり大きな建物だ。

 それにここからでも分かるが、この建物の中には沢山の人が居るのが分かる。


「あら、黒羽さん達じゃないですか本日はどのようなご予定ですか?」


 クロ姉達に連れられて中に入った俺は、そのまま受付に行くと受付嬢の方がクロ姉達を見てそんな反応をしていた。

 建物に入ったあたりから、周りの視線をクロ姉達は集めてたから薄々感づいてたけど、クロ姉達人気なんだな。

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