ショートショート300字・宙の人1話2話3話4話

柴田 康美

第1話宙の人

 惑星Rでは街中の宙をクジラやイルカが飛んでいるんだよ。

もちろんサメとクラゲもいるんだ。

いつもなかまはずれの「ひとりぼっち少年」がめずらしく

目をかがやかせながら遠慮がちに言う。

昼休みの教室でみんなガヤガヤはなしているところだ。

えーつ。

ウソだ。

またおまえか。

いいかげんにしなよ。

そんなこといってるからぼっちになるんだぜ。

夢でもみてんじゃないの。

みんな顔を見合わせて笑いころげた。 


だってきのうほうかごブランコにのっていたら

どこかのおじさんがちかよってきておしえてくれたんだ。


少年は窓から下の校庭をみていた。バイバイと手をふった。

校庭をよこぎって裏の方に消えたおじさんがいた。

丘のうえから銀色の「のりもの」が音もなくとびたっていった。

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